スタイリングにおいては、計算し尽くしたち密さが垣間見える。たとえば、ハイゲージのタートルニットには、ライナーにムース素材をボンディングしたGジャン風のブルゾンを重ね、“厚手のアウターの下に、薄手のインナー”のスタイリング。一方、ミドルゲージのタートルネックには、フランネル素材のチェスターコートを合わせ、こちらは“薄手のアウターの下に、厚手のインナー”のコーディネイト。こうすることで、いずれのスタイルにも過剰でも貧弱でもない、適度なボリューム感を与えた。
また、トロンプルイユ(だまし絵)のアイデアも豊富だ。たとえばタートルネックは、首回りだけをリブ編みに切り替えることで、タートルのリブニットの上から丸首ニットを重ね着しているように見せる。トレンチコートは、ベルトから下の身頃をウールに切り替え。ひざ上丈のコートの上から、コンパクト丈のトレンチを重ねているように見せた。秀逸だったのは、モッズコートとチェスターコートのコンビネーション。いずれもニードルパンチの技法を使い2着提案した。1着目は、上がモッズコートで、下がチェスターコート。そして2着目は、その反対。後者はモッズコート本来の姿を意識して、裾にはドローコードとスナップボタンをあしらった。
計算づくめのスタイリングとトロンプルイユのアイデアで、最大4着の重ね着もスマートに見える。ボトムスがスリムテーパードやレギンスパンツだからなおさらだ。カラーパレットを白と黒、グレー、そしてカーキに限定したコレクション。「ニール・バレット」の洋服は、たとえふんわりしたフォルムにまとまりがちなレイヤードスタイルでもたくましい。男らしくありたい男性にとって、ありがたい存在だ。