ファッション

「アトリエ ヴェルサーチ」2015年春夏オートクチュール 生地に命を与えるカットと縫製。ドレスは第2の皮膚となる

 パリ・メンズ・コレクションの最終日である25日、夜9時には「アトリエ ヴェルサーチ(ATELIER VERSACE)」のショーで2015年春夏オートクチュール・コレクションが幕を開けた。会場は19世紀の貴族の館を改装して造られた8区の名門ホテル、ポトキ。瀟洒な内装をバックに潔くセクシーなイヴニングドレスを並べた。

 オートクチュールとは、オーダーメードで作られる一点ものの服のこと。「アトリエ ヴェルサーチ」が顧客の女性たちに捧げる価値は、第2の素肌のように体にぴったりと沿うパターンとカットの技だ。スポーティーなジャンプスーツもここでは官能的なドレスとなる。細い首に巻き付くようなネックラインのジャンプスーツは、ワンショルダーで華奢な肩を強調し、胸や腰の丸みをなぞるように滑り落ち、長いスリットを入れたフレアパンツへとつながる。まるで生地に命があり、女性の裸体の上を這うような躍動感がある。

 「21世紀のクチュールとは実験的でエレガントであること」とデザイナーのドナテラ・ヴェルサーチ。メンズのテーラードをベースに、柔らかくも適度に張りのあるシルクリネンをはぎ合わせ、大胆なカットを肩や胸、ヒップに差し込むことで彫刻のようなシルエットを作り出す。色は黒、白、赤、青など一色で柄は一切ない。

 中盤はロングブーツに合わせる膝丈のボリュームたっぷりのフレアドレスにスポーティーなショートブルゾンを合わせて軽快に。後半はキー素材をスキンカラーのネットに変えて、素肌にペイントを施すように、ネットにクリスタルで抽象柄の刺繍を施す。圧巻の官能美だ。

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