オートクチュールとは、オーダーメードで作られる一点ものの服のこと。「アトリエ ヴェルサーチ」が顧客の女性たちに捧げる価値は、第2の素肌のように体にぴったりと沿うパターンとカットの技だ。スポーティーなジャンプスーツもここでは官能的なドレスとなる。細い首に巻き付くようなネックラインのジャンプスーツは、ワンショルダーで華奢な肩を強調し、胸や腰の丸みをなぞるように滑り落ち、長いスリットを入れたフレアパンツへとつながる。まるで生地に命があり、女性の裸体の上を這うような躍動感がある。
「21世紀のクチュールとは実験的でエレガントであること」とデザイナーのドナテラ・ヴェルサーチ。メンズのテーラードをベースに、柔らかくも適度に張りのあるシルクリネンをはぎ合わせ、大胆なカットを肩や胸、ヒップに差し込むことで彫刻のようなシルエットを作り出す。色は黒、白、赤、青など一色で柄は一切ない。
中盤はロングブーツに合わせる膝丈のボリュームたっぷりのフレアドレスにスポーティーなショートブルゾンを合わせて軽快に。後半はキー素材をスキンカラーのネットに変えて、素肌にペイントを施すように、ネットにクリスタルで抽象柄の刺繍を施す。圧巻の官能美だ。