テーマは「61通りのイエス」。「イエス」は結婚式での誓いを指し、その言葉通り全ルックをウエディングでまとめた。その内容は、完璧なドレスやタキシードを仕立てるオートクチュールのアトリエの存在を改めて見せつけるもの。同時に、相反するもの、異なるものをひとつに融合し新しいスタイルを生み出してきたゴルチエのスタイルを象徴している。異質を受け入れ「イエス」と、肯定だけを繰り返す前向きなメッセージもまた、ゴルチエらしい。
ファーストルックは真っ白なチュールの花のドレスの花嫁。ただし彼女がはいているのは、白いメンズのブリーフだ。ヘアには大量のヘアカーラーを巻き付けている。続くルックのほとんどが左右や前後、中と外のデザインが異なり、メンズとウィメンズの要素が共存する。半身が黒のタキシードで半身が白いチュールのドレス、ドレス感覚で着る流れるようなシルエットのサテンのパンツスーツなど。レザーとシフォンなど硬柔織り交ぜた素材使いも目立つ。ジェンダーレスでクチュール。少しのアイロニーと笑い。生粋のパリジャンであるゴルチエの美意識が凝縮されたコレクションに拍手が送られた。