「オートクチュールこそが我々のクリエイションの原点」と語る「ヴィクター&ロルフ(VIKTOR&ROLF)」のロルフ・スノエレンとヴィクター・ホルスティン。2人はショーを観る者、服を着る人に対するサービス精神が豊富であると同時に、そのスタンスはいつでも少しアイロニーのベールに包まれている。トレンドとは一線を画すオートクチュールではその魅力が一層引き出される。
インスピレーション源は画家のフィンセント・ファン・ゴッホ。ゴッホの活力溢れる田園描写に宿る生のエネルギーにインスパイアされたという。リリースには「私は、自分の作品にも心と魂を込める。そして制作過程で我を失う」というゴッホの言葉が引用されている。牧歌的なAラインのベビードールドレスや頭にのせた素朴な麦わら帽子は、ショーが進むにつれて少しずつサイズを増し、最後には服と帽子が一体化する。
伝統的なバティック染めを用いた花柄は途中から立体的な装飾へとドラマチックに変化してゆく。女性ヴォーカルが不気味にささやき歌う、映画「ローズマリーの赤ちゃん」のテーマソングを聞きながら服を見ると、デザイナの2人の内面がほとばしり出てきているかのようにも見えてくる。