ショーの序盤は、アレキサンダー・ワンの好きな黒のルックが続き、ミニドレスの裾やロングベスト、ガウン風ドレス、ジャケットやパンツの至るところにシルバーの鋲が打たれている。一つのルックにレザー、ベルベット、キルティング、ウール、シルクなどの複数の素材をミックスし、黒にさまざまな表情を持たせる。足元は10センチ以上はある厚底のプラットフォームシューズ。そこにもたくさんの鋲が施されている。中盤は、赤と黒のチェックのジャケットコートや大きなファーのついたメタリックシルバーのボマージャケット、白のローゲージニットにケミカルウォッシュ風のデニムを合わせるなど、ワン流のストリート・パンクといったところだ。ニューヨーク・ファッション・ウイークの序盤が、ホワイトやベージュ、パステルなどの優しいカラーをベースにした、着心地の良さや安らぎを感じるコレクションが多かっただけに、ワンのパンク精神がファッションへの熱量のように感じられ、カウンターパンチをくらったようだ。