ショーの冒頭で黒と白の対比が印象的に使われたのも“矛盾”の表現につながっている。裾が揺れるパネルスカートやタッセルを飾った側章入りパンツに、黒と白とネイビーのカラーブロックのトップスを合わせる。流れるようなシルエットのボトムスは歩く度に裾が揺れてノマドを連想するのに対して、コンパクトなトップスは洗練された都会の生活を思わせる。肌が透ける繊細なニットに硬いレザーのハーネスを合わせるのも同様だ。フリンジが揺れる情熱的な赤のサテンのコートも黒のタッセルを効かせて陽と陰の2面を見せる。
後半はモロッコの室内装飾や民族衣装を連想する華やかな色や柄の世界へ。金糸や銀糸に赤を絡めたジャカードやプリントを多用し、体を締め付けないリラックスしたシルエットのドレスやパンツとブラウスのセットアップに仕立てる。そこにフェザーをたっぷりと飾った白いパイソンのベストやボリューミーなファーでワイルドに。体を締め付けないフォームの服が多いのに対して、バッグはゴールドのチェーンを飾ったスクエア型でかっちりと。足元は大地をしっかり踏みしめて歩くロングやショートのレザーブーツ。