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連載 SNSトレンドに、業界は「どうする」? 第54回

Vol.54 ブランドの中の人はヲタの頂点たれ!【SNSトレンドに、業界は「どうする」?】

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「WWDJAPAN」のソーシャルエディターは毎日、X(Twitter)やFacebook、Instagram、TikTok、そしてThreadsをパトロールして、バズった投稿や炎上、注目のトレンドをキャッチしている。この連載では、ソーシャルエディターが気になるSNSトレンドを投げかけ、業界をパトロールする記者とディスカッション。業界を動かす“かもしれない”SNSトレンドの影響力や、投稿がバズったり炎上してしまったりに至った背景を探る。今、SNSでは何が起こっているのか?そして、どう向き合うべきなのか?日々のコミュニケーションのヒントにしたい。今回は、ビューティ業界にとって1年の総決算、クリスマスコフレの話からスタート。

ソーシャルエディター浅野:まだまだ季節は夏ですが、コスメ好きの祭り、クリスマスコフレの情報解禁が続々と続いています。毎年のことなのに、やっぱり「もうクリスマス?」と驚きます(笑)。自称“「WWDJAPAN」のコフレ番長”の私ですが、今年はちょっと変化を感じています。ここ数年はコロナ禍の影響もあってか、実用性重視のベーシックなカラーやアイテムが多い印象でした。しかし今年は、「パーティーシーズンにぴったり!」といったコメントが合いそうな、華やかなコレクションが増えています。実用性も大切ですが、やっぱりこの時期だけのキラキラ増し増し、ちょっと遊んじゃうカラーのクリスマスコフレに心が踊っています。
もちろんSNSのコスメ好き達も沸き立ちます。どのメディアよりも先に一般ユーザーが情報を集めて「クリスマスコフレまとめ」投稿を作成しているほどです。情報解禁に合わせての掲載はメディアの特権ですが、商品のレビューや購入に必要な情報に関しては、もはやメディアのライバルは、他メディアではなくインフルエンサーや一般ユーザーです。各百貨店、ECなどの販売情報やそれぞれに異なる予約開始日など、メディアがカバーしない細かい情報まで網羅する猛者もいるんです。

記者村上:私もニュースリリースをいただくたびに確認していますが、今年は、口走っちゃいそうなくらい「Wow!」なクリスマスコフレも出てきそうですね(ムフフ)。浅野さんの言う通り、現実的だった去年と比べると、今年のクリスマスコフレはワクワクにシフトしている印象です。お出かけが楽しい今の雰囲気に合っていますね。
それにしても驚きは、コスメオタクたちですねw。推しブランドへの熱量がスゴい(笑)。ビューティ業界で、この推しへの想いをうまく利用しているブランドはないのでしょうか?

伊勢丹は公式ファンの「イセタニスタ」とタッグを組んで、商品開発の裏側などをお披露目するなど特別感を提供しながら、UGCを生み出しましたよね。時計の世界では、熱烈なコレクターに復刻すべき時計を尋ねたり、どう改良すべきかのアイデアを聞いたりするブランドがあります。一番熱量の高いファンはリスペクトされているから、彼の意見は周りを動かす。だからこそ、“お伺い”を立てるワケです。ビューティでは、こんなふうにファンの熱量をうまく使っている事例はないですか?

浅野:特にクリスマスコフレはコスメ好きだけでなく、普段は限定ものをあまり購入しない層も“参戦”するので、コスメオタクたちの気迫はすごいですね(笑)。
少し話は変わりますが、最近私が気になっているのは、ブランド側が発信する熱量です。例えば「ベアミネラル(BAREMINERALS)」のX(Twitter)はビューティ系ブランドでは珍しく、ブランドの中の人が自分の言葉で発信し、ユーザーとコミュニケーションする運用です。しかもかなりカジュアルな感じで、企業アカウントというより本当にコスメ好きの発信といった感じです。突き詰めるとPRって、究極のファンみたいなところがありますよね。商品の良さを誰よりも知っていて、それを発信する。「ベアミネラル」のアカウントは中の人の熱量が消費者に伝播し、コミュニケーションが活発です。商品についての忌憚ないコメントも多く、すごく良い距離感のコミュニケーションが発生していると思います。もはやファンダム(熱心なファンのコミュニティのこと)ですよね。私たちメディアも、発表会などでPRや開発の方から直接話を聞くと、熱量が伝わってきて、商品やブランドがより好きになったりしませんか?私はけっこうあります。発表会以外でも、「スック(SUQQU)」からプレス向けに届く、PRの愛が溢れすぎているリリースが好きで、最近は届くのが楽しみです(笑)。全ての企業でこういったコミュニケーションが可能か?というと難しいとは思います。ブランディングなどもありますからね。でも、アイドルの推し活もしかり、熱量の伝播は“推し活”の真髄のような気がします。

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