会場は窓のないコンクリート打ちっぱなしの地下フロア。文字通りアンダーグラウンドの空間に、インパクトある服に身をつつんだ観客が集まる。全身ネオンカラーの刈り上げヘアの女性やすべての指にゴツいリングをつけたラッパー風の男性。いわゆるリアルクローズとは遠い服を着た彼らが熱い視線を送る先は、観客以上にインパクトあるゴールドのフルメイクを施した「リック・オウエンス(RICK OWENS)」のモデルたちだ。
いつものように何かから身を守るような、独特な造形服が続く。大きな布を体に巻き付けるように造形し、部分的にボリュームを持たせる。前立てが肥大化したフーデッド・ブルゾンやペプラムが長くのびたようなカットソーなどもある。羽根が生えたようなバックスタイルが特に印象的だ。
今季のキーファブリックは、服のヘムから毛が生えているように見える野性的なファー使い。服が生きていて、毛が生えてきたかみたいでユニークだ。カラーは今季も黒、白、カーキ、ブラウンと控え目だが、小さな金銀の点を箔押ししたようなグラフィックが服を飾る。遠目には服自体が発光し輝いているようだ。力強く野生の本能を呼び覚ますようなコレクション。