ピーター・コッピングからのバトンを受け、今シーズンからギョーム・アンリがクリエイティブ・ディレクターに就任した。「カルヴェン」で見せていた“カワイイ”コンテンポラリーな女性像を「ニナリッチ」にも持ち込むかと思いきや良い意味でその期待を裏切り、大人の女性のためのエレガント&エフォートレスで好スタートを切った。
「例えば女優のモニカ・ヴェルッチのように、モダンでリッチだがそれを声高には言わなくても表現できる現代の女性をイメージした」とギョーム・アンリ。象徴的なのはレースのTシャツ。メゾンを象徴する繊細なレースを使いながらもそれを歴代デザイナーたちのようにフェミニンにまとめるのではなく、着やすいスポーティーなアイテムとして取り入れた。
ファーストルックはネイビーのオーバーサイズのピーコートと繊細なレースのスカート、白のプルオーバー。各ルックのコーディネートも、ショー全体を通して見ても、アイテムや素材、色が注意深く、必要なものだけが選ばれていることがわかる。マリンパンツにツイードのコート、サテンやレースのTシャツにフリンジのドレス。オーバーサイズのパッチワークニットにメンズライクなチェスターコート。それらが、フランス人のアンリが考える現代のパリジェンヌのワードローブのようだ。色もネイビー、キャメル、白、黒を基本に時々、アンリが「ルージュの色」と呼ぶ赤が加わる。