小峰明彦プランニングディレクターに聞く
2022年春夏シーズンにデビューし、“イタリア服”に疲れた40~50代向けに、きれいめなシャツやパンツを提案してきた東京ブランドの「コロン(COLON)」が、23-24年秋冬シーズンに初めてジャケットを発売する。素材はウール100%で、価格は6万9300円。トープ、ネイビー、ブラックの3色展開だ。なぜこのタイミングで販売に至ったのか?小峰明彦プランニングディレクターに聞いた。
WWD:4シーズン目にして初めてジャケットを発売する意図は?
小峰明彦「コロン」プランニングディレクター(以下、小峰):「コロン」はシャツを熊本、パンツを秋田と、僕が思う“日本最高峰”の工場で生産している。パターンメーキングの美しさには自信を持っており、ユナイテッドアローズやエディフィスといった卸先から、「なぜジャケットを作らないのか?」との声が挙がっていた。フォーマル回帰ともいえる世界的なメンズファッションの潮流に応える意味でも、満を持してリリースを決めた。
WWD:発売するジャケットはノッチドラペルでパッチポケット、ベントもない、あくまでカジュアルなデザインだ。
小峰:標ぼうしたのは、“アンコン(ストラクテッド=1枚仕立てのジャケット)以上、テーラード未満”。ジャケットについて“着てさえいれば良い”ではなく、仕立てを分かっている人にも提案できるものを目指した。袖を前振りにして着心地を向上させているのもそのためだ。また、素材使いで気を付けたのは“中の上”感。
WWD:それはなぜ?
小峰:高級素材を用いると登板機会が少なくなってしまう。それに原料の高騰もあり、価格がより上がりリアルとはほど遠くなる。
WWD:サイジングにも、こだわりがあると聞いた。
小峰:“イタリア的ピチピチはちょっと避けたい……、だけどビッグサイズにも抵抗がある人”に向けた。とはいえ、重要視したのは既存の商品との連動性だ。
満を持して発売するジャケットが脇役!?
WWD:詳しく教えてほしい。
小峰:このジャケットは、「コロン」の中ではあくまで脇役。シャツとパンツがブランドの軸であることは堅持し、それらのシルエットをいっそう引き立てる存在として作った。
WWD:コーディネート提案としては?
小峰:共生地のパンツとセットアップで着てもらっても良いし、手持ちの服と合わせてもらっても良い。それこそ古着のスエットでもフィットするはずだ。足元も革靴、スニーカーのどちらにも対応する。
WWD:ジャケットは24年春夏シーズンも展開する?
小峰:同型で、素材をリネン×コットンに変えて提案する。
インターナショナルギャラリー ビームス別注も
なお「コロン」は今季、インターナショナルギャラリー ビームスの別注に応える形で同ジャケットをデニム素材で製作した。
また、ジャケット以外ではシャツ5型とパンツ6型をラインアップする。価格はシャツが2万6400〜3万5200円、パンツが2万9700〜3万9600円だ。
「コロン」は繊維商社の豊島傘下で、輸入代理業やオリジナルの革小物ブランド「ラルコバレーノ(L'ARCOBALENO)」、OEMなどを行うエンメ(東京、平能孝信社長)が手掛ける初のメンズアパレルブランド。