ファッション

「エルメス」2015-16年秋冬パリ 女性デザイナーによる最上質プレタがデビュー

 クリストフ・ルメールからバトンを受けて、今季からナデージュ・ヴァンへ=シビュルスキーが「エルメス(HERMES)」のウィメンズ・プレタポルテのアーティスティック・ディレクターに就任し、今回、初コレクションを披露した。

 その手法は控え目で堅実だが、素材や色の選び方や組み合わせ方には「メゾン マルタン マルジェラ」「セリーヌ」「ザ ロウ」などでのキャリアが生かされており、「エルメス」のプレタポポルテを任された理由がよく分かる。

 テーマは乗馬のスピリット。ニットなどのデイリーウエアからイブニングまで「エルメス」のルーツである乗馬の世界をデザインに取り入れた。カーフとキルティングを重ねた乗馬ジャケット風や、かつて馬車に乗る時に使用したブランケットからヒントを得たコート、鞍に打つ鋲をモチーフにした金具のディテールなど。

 キー素材はもちろんレザーで、シルクスカーフとレザーを張り合わせたラップ風スカートなど、一ひねり入れたレザーの使い方が印象的だ。レザーの中でも重要なのが“フル・グレイン・レザー”と呼ばれる非常に上質なスエードで、カーフと組み合わせてジャケットなどを仕立てる。プレシャススキンは用いず、代わりに「エルメス」にしては珍しくミンクファーを使ってシンプルなプルオーバーをデザインするあたりに、触り心地の良さを重視する女性デザイナーの感性が反映されている。

 目を凝らし、触ってみて初めてわかる異なる素材の組み合わせは、ニットドレスなどにも採用されており、ボディーはウールで脇や裾など一部分をシルクで編む事で控え目な輝きを添えた。色はワントーンが基本で、ネイビーに始まり、ブラウン、白、黒などに時々鮮やかな“ペッパーレッド”やビビッドなイエローを差し込む。

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