“違和感”が重要なキーワードで、たとえばそれは、フォーム作りやディテールでも表現されている。張りのあるチュールを服の内部に入れ、不思議なボリュームを持たせたり、キルティングのライナー付きのコートは、あえてライナーのキルティングのステッチをコントラストの強い色のゼロ番手(通常シューズやバッグを縫う時に使う太さ)の糸を用いジャケットの上から縫い付けたり。中盤から登場するカラフルなボーダーシリーズは、メキシコのポンチョがインスピレーション源。ファーで飾ったり、ウール素材をスポンジとポリウレタンでボンディングし張りを持たせたりして、モダンなアイテムへと昇華させた。
メンズ素材を装飾するのは、レースなどのフェミニン素材ではなくカラフルに染めたファーで、これまでになく強くエネルギッシュだ。大胆なアイデアと素材、そして緻密な手作業によるクリエイションで、次の扉を開いた印象だ。