コレクションには、○○年代風などの設定はなく、クリストバル・バレンシアガのアーカイブをヒントにワンの現代のマインドを融合している。コクーンシルエット、キモノ、バルーンドレスの3つを基軸に、ツイードなどのクラシックな素材にメタリックなディテールを絡めてモダンに仕上げた。
アレキサンダー・ワンとアトリエの関係はとても良好なようだ。特にワンのアイデアを具現化する優れた素材開発チームの存在感が増している。コクーンシルエットなどのフォームを形成するのに欠かせないのが適度な張りと柔らかさがある生地。冒頭に続いたチェックはドライウールで見た目以上に張りがある。グレーのツイードに見える生地が実はニットであったり、総刺しゅうで作るアストラカン風生地など見た目を裏切る素材使いも多い。
服にモダンな印象を与えるのは遊び心あるディテールだ。たとえばホチキスで生地を留めた風の装飾や、ジャカードで表現するスプレー吹き付けのような色使い、“あるべきところでない”ところに配した幅広のベルトなど。
アクセサリーも、シリコン液に浸したようなメタルチェーン使いのバッグや、靴の製法を丸見えにしたヒール使いなどクチュールライクでありながら“裏の顔”もあえて見せてしまうアイデアがユニークだ。