ウエアはニードルパンチの技術を核としたユニセックスのニットコレクションで、モチーフは地球やロケット、落書き風のイラストだ。地球の上にエイリアンやスーパーマンが乗った“着ぐるみ”を着たモデルも登場する。総勢40〜50人のモデルが出そろい。ショーのフィナーレを迎えても、ランウエイ中央に鎮座していた大きな地球はなかなか舞台裏に戻れない。しばらくの間会場の皆が見守り、無事ショーの幕を下ろした。
「世界の情勢が揺らいでいる今、ユーモアを込めてファッションで何か表現したいと思った」と山縣良和。アイデア源となったのは、「80年代や90年代の空気感で、特にオリビエロ・トスカーニが手掛けた『ベネトン』の広告」。80年代後半から「ベネトン」のポスターやカタログには、基本的に商品は登場せずに差別、紛争、難民、死刑制度といった問題を取り上げていた。「広告自体が先進的だった」。山縣は、1月にパリに渡航した際、滞在先がたまたまシャルリー・エブドの銃撃事件の現場近くだった。「とてもシリアスな空気感だった。その時、日本人である僕ができることを考えた時に、イエスかノーではなく、協調性を発展させることだと思った」。ストレートな表現で、10分足らずで人の心を動かし癒すファッションショーを披露した。
「リトゥン バイ」は2014年にリアルクローズを提案するラインとしてスタート。アート色の強い「リトゥンアフターワーズ」対して山縣なりに”売れる”洋服が意識されている。