ファッション

「ファクトタム」2015-16年秋冬東京 牧歌的な世界に込めたいくつもの挑戦

 これまで海外の国からインスパイアされることが多かった「ファクトタム(FACTOTUM)」だが、有働幸司デザイナーいわく今季は「キャリアも10年以上となった今、改めて日本の良さを再確認」し、村上春樹の小説「羊をめぐる冒険」から着想を得てコレクションを組み立てた。世界観は、デザイナーの人柄と同様に穏やかだが、その中に込めたいくつもの新しい挑戦に東京をリードするブランドとしてのプライドと実力を見る。

 巨大なモニターには、北海道・美深町の穏やかな牧場風景。美深を良く知る写真家の岡田敦の作品が会場をぬくもりで包む。前半は、小説にも登場する1970年代の学生運動を重ね、ダメージ加工を施したデニムとウールボアを柱にビンテージライクに構成する。デニムは元々得意とする素材だが、ショーでここまでフォーカスするのは珍しい。日本の職人技術を生かし、ブリーチアウトやスクラッチのダメージ加工でヴィンテージのように仕上げる。デニム以外の素材の多くがウールで、フランネルのように本来のウールの素材感を生かしたものから、ジャージーまで、ぱっと見では分からない幅広い使い方をしている。

 ワーク、スポーツ、ミリタリー、テーラードなど複数の要素をミックスしたレイヤードは得意とするところだが、今季はそのシルエットに変化が見られる。クロップドのワイドパンツにオーバーサイズのアウターなど、ビッグシルエット同士を重ねるコーディネートがそれだ。一見ではわからないが、これらのわずかにゆるいフォームは着物や袴からヒントを得たといい、ここにも「ファクトタム」流の日本を見る。

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