ニューヨーク(NY)発のストリートウエアブランド「シュプリーム(SUPREME)」は8月19日、韓国・ソウルの江南(カンナム)区新沙洞(シンサドン)に世界で16店舗目のショップをオープンした(648 Sinsa-dong, Gangnam-gu, Seoul 06027)。店舗面積は211平方メートル。日本を除くアジア圏では初の出店となる。オープン数日前からは、熱狂的なファンが2023-24年秋冬コレクション ウイーク1(WEEK1)のアイテムとソウル店限定の“ボックスロゴ”Tシャツを購入するための枠を勝ち取ろうと列を作った。
カンナムの高級ショッピングエリアに位置する同店は、鳥山(トサン)公園に隣接。近隣には「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のポップアップストアやアイウエアブランド「ジェントルモンスター(GENTLE MONSTER)」と傘下のコスメブランド「タンバリンズ(TAMBURINS)」が入る旗艦店ハウス トサン(HAUS DOSAN)などがある
「シュプリーム」と長年コラボしてきたロンドンのデザインスタジオ、ブリンクワース(BRINKWORTH)が手掛けたソウル店の外観は、スケーター向けのスロープ状のエントランスや光沢のある黒のファサード、床から天井まで届くガラスのウインドーが特徴。まるでアートギャラリーのような雰囲気を醸し出す。
店内で印象的なのは、シカゴ店のアートワークも手掛けたリタ・アッカーマン(Rita Ackermann)が描いた妖精のようなキャラクターの巨大な壁画だ。反対の壁には、BLACKPINK(ブラックピンク)のリサ(LISA)からバズを起こした猫のミームまで、ポップカルチャーを引用したウィアード・デイブ(Weirdo Dave)によるコラージュアートが飾られている。また、壁や床に施されたネイト・ロウマン(Nate Lowman)による銃弾跡のペイントは空間にポップなアクセントをプラス。NY在住のスピーカー・アーティストであるデヴォン・ターンブル(Devon Turnbull)が同店のためにデザインした、天井から鎖で吊るされた2つのスピーカーも目を引く。
そして、店内中央には巨大化した“シュプリームマネー”のベンチが設置され、来店者が集まって、ゆっくりと時間を過ごせるようになっている。このベンチは著名なアーティストによる作品ではなく、17年秋冬コレクションのペーパーウェイトをベースにしたものだ。なお、2階は同ブランドの現地オフィスになっている。
さらに韓国初出店を記念し、「シュプリーム」は専属スケートチームがソウルの街を駆け巡り、その中でトリック(技)を披露するショートフィルム「PIGGY」を発表。同ブランドに在籍する映像作家ウィリアム・ストロベック(William Strobeck)が撮影した同作はオープンに先駆けて開かれたパーティーで初披露され。現在は公式サイトなどのオンラインでも視聴できる。
「シュプリーム」のソウル出店は、中国で唯一の卸先であるドーバーストリートマーケット北京(DOVER STREET MARKET BEIJING)を通して中国展開を始めてから、約1年後のことになる。「シュプリーム」を擁するVFコーポレーション(VF CORPORATION)のマルティノ・スカッビア・グエリーニ(Martino Scabbia Guerrini)=エグゼクティブ・バイス・プレジデント兼EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)、APAC(アジア太平洋地域)、新進ブランド担当プレジデントは、「『シュプリーム』は中期的にアジアとヨーロッパでの小売店の数を拡大することで、リーチを倍増できる可能性を秘めている」とコメント。「『シュプリーム』は素晴らしいビジネスモデルだが、商品や美学、顧客とのコミュニケーションを革新し続けていく必要があり、そのためには統制しながら取り組んでいくべき。商品の過度な飽和を避け、希少性を持たせることがエクスクルーシブであり続けるための術だ」と説明した。