スイスのウオッチメゾン「ヴァシュロン・コンスタンタン(VACHERON CONSTANTIN)」は、米国人の芸術家で探検家のザリア・フォーマン(Zaria Forman)を“ONE OF NOT MANY(少数精鋭の一員)”のキャンペーンに起用した。
世界各国のさまざまな遠い地へ自ら足を運び、カメラで撮影した写真や記憶を壮大な紙の上にリアルなタッチで再現するフォーマンは今回、“オーヴァーシーズ”コレクションのために、アイスランドのフェルスフェアラで撮影を行った。極寒の海に浮かぶ氷河の質感を写真以上にリアルに描き、神秘的な氷を描いた作品「フェルスフェアラ、アイスランド NO.3」はメゾンのために特別に制作された。
「気候変動の影響がおよんだ数多くの風景を目の当たりにする中で、私は常に畏れの念を持たずにはいられない。その気持ちを、忠実に表現したいと思った」とフォーマン。「氷のもろさは“オーヴァーシーズ”の時計の信頼性とは相反している。だが、これらは共に時を伝え、それぞれの複雑さ、卓越性、美しさを兼ね備えている点は共通している。『ヴァシュロン・コンスタンタン』のためだけに描いた絵は、氷の中のテクスチャーや表面を拡大し、今まで自身の作品で試したことがなかった方法で表現した。大きな塊の氷が分離していく様子や、黒い砂浜で波に洗われる氷などの気候変動による現象を細部まで探究した」。
価値や技能の伝承への取り組みを大切にしているのが「ヴァシュロン・コンスタンタン」だ。自身の感性や芸術的アプローチにも通ずるものがあるか、という質問に対し、フォーマンは「もちろん。私の作品を見る人たちに、未来について考えてもらいたい。『ヴァシュロン・コンスタンタン』がメゾンの職人や専門技能、時計製造における偉大な遺産や文化を守っているように、私も美しいものを守るための一助を担いたいと願っている。私たちは共に、創造と保存を行っている」と回答した。
2018年にスタートした同キャンペーンは、「ヴァシュロン・コンスタンタン」が大切にしている“ONE OF NOT MANY”の価値観や世界観を共有し、それを体現する人物に焦点を当てたもの。音楽家や写真家、デザイナーなど、各界で活躍する人物を起用してきた。ルイ・フェルラ(Louis Ferla)CEOは、フォーマンの起用について「彼女は社会的な活動をする芸術家であり、芸術が与える感動を強く意識して美を多くの人々と共有することを熱望している」と述べ、彼女のストーリーを通してサステナブルな活動を発信していく。これまで掲げてきた企業姿勢とは、少し違う切り口でオファーをしたという。
フォーマンは、自身の作品について「芸術には、私たちの感情に訴えかける特別な力を持っている。私は気候変動による破壊の跡ではなく、人々を鼓舞するために、失うことになるものの美しさを作品で表現している。人は何かに惚れこむと、それを守りたくなるから」とコメントしている。
ヴァシュロン・コンスタンタン
0120-63-1755