マッシュホールディングスが100%出資するバブアー パートナーズ ジャパン(濱田博人社長)は9月29日、東京・代官山に「バブアー(BARBOUR)」の直営路面店を出店する。9月は7日にルミネ新宿ルミネ1の1階、15日に京都の藤井大丸にも出店予定で、これにより直営店舗は計7店となる。従来は百貨店メンズフロアでの展開イメージが強かったが、今秋出店する3店ではウィメンズアイテムもしっかりそろえ、男女客に打ち出す。
「バブアー」は八木通商傘下のスープリームスインコーポレーテッドが日本で販売してきたが、契約終了に伴い国内店舗を一斉閉店。2022年からバブアー パートナーズ ジャパンが運営している。22年秋以降、伊勢丹新宿本店メンズ館、大丸東京店、大阪ルクアイーレ、大丸札幌店に出店しており、なかでも「女性客の通行量の多いルクアイーレの売れ行きがいい」と濱田社長。また、メンズフロアにある百貨店店舗でも「多いときには売り上げの15〜20%が女性客ということもある。卸先のセレクトショップがウィメンズの別注アイテムを積極的に仕掛けてくれていることもあって、女性に認知が広がっている」という。
こうした女性客のニーズを受け、ブランドを象徴するオイルドジャケット以外のアイテムの取り扱いを雑貨を含め拡大している。22年秋は、本来はオイルドジャケットのライナーとして着用するフェイクファーのジレが単品として女性客にヒット。23年春夏はレインブーツ(ロング1万7600円、ショート1万3200円)やレインコート、キャップ(6050円)などが好調で、売り上げを押し上げた。
新店はワックスステーション常設
ルミネ新宿や藤井大丸への出店で、女性を含む新規客の取り込みはさらに加速しそうだが、同時に代官山の路面店では長年の「バブアー」ファンにも喜ばれる店作りを目指す。「アー・ペー・セー(A.P.C.)」や「メゾン キツネ(MAISON KITSUNE)」などの店舗周辺に出店する代官山店は、1フロアで面積約168平方メートル。オイルドジャケットのワックスかけ直しに対応するワックスステーションを常設すると共に、同店で商品を購入した客には名入れ刺しゅうを無料で提供する(他店購入商品は有料で持ち込みが可能)。ライフスタイル提案の一環として、ドッグ用品も展開予定だ。
英本国で先行している、客から回収した商品をリメークして販売する“リ・ラブド”の取り組みも代官山店では開始する。代官山店頭で「バブアー」の商品を回収すると共に、まずは英国でリメークした商品を販売。「将来的には、日本で回収した商品を日本の縫製工場でリメークし、日本国内で循環させたい。アーティストやクリエーターと組んだ、スペシャルなリメークなども考えていく」という。“リ・ラブド”の商品価格は通常商品の1.3〜1.4倍前後のイメージだ。
バブアー パートナーズ ジャパン体制での新規出店から約1年が経ち、「ある程度戦い方は見えてきた。大都市圏では女性客の多いファッションビルに出店しつつ、地方都市では百貨店メンズフロアへの出店も行う」。当初の計画では5年で15店を出店するイメージだったが、初年度の好調を受け、出店数をやや増やす考えもあるという。