ジーユーは2023-24年秋冬、“GO GLOBAL”をテーマに据え、「グローバルのファッションをリードする、グローバル・マストレンド・ブランド」への進化を目指す。22年10月以来、米ニューヨークで長期ポップアップストアを運営しているが、「今年9月にはニューヨークに商品本部も設け、グローバルな市場でわれわれに何が求められるのかを分析し、世界中のお客さまに喜ばれるブランド、商品を目指す」(柚木治社長)。合わせて、テレビCMや販促物などのクリエイティブも全面的に刷新する。
ジーユーは23年2月末時点で全世界で455店を運営している。海外は中国本土、香港、台湾に出店しており、海外店舗数は35店前後、欧米はニューヨークの長期ポップアップストアのみだ。国内では、24年8月期も23年8月期(47店出店)と同程度の出店をめざすと共に、海外は「中国本土、香港、台湾で出店を続け、ニューヨークはこの1年の学びを生かして常設店に切り替える」考え。ニューヨーク商品本部は、MDやR&Dの担当者ら10人体制で運営する。
ニューヨーク店は「開業時はにぎわったが、それ以降は予想と売れ行きの解離で苦戦し、改善を重ねたことで現在は好調に推移している」という。「日本的な可愛らしいデザインは売れない。サイズは思ったほど大きめが売れるわけではない。カラーアイテムの比重を高めていたが、ベーシックカラーの方が動きがいい」という学びを苦戦時に得て、テック素材を使ったユーティリティーアイテムなど、いわゆる“ゴープコア”と呼ばれるようなグローバルトレンドに沿ったアイテムを投入した。
その結果、スーパーワイドカーゴパンツやヘビーウェイトのスエットなどが「トレンド性があり、なおかつ品質面で日本らしさを感じ、それが買いやすい価格で手に入ることで支持された」と分析する。ジーユーは品番数を競合のグローバルSPAよりも大幅に絞り込むことで、商品価値に対する価格を抑えることができているという。こうした結果を受け、23-24年秋冬はパラシュートカーゴパンツ(2990円)などカーゴパンツや、起毛タッチのニットのバリエーション(1990〜2990円)、ヘビーウェイトのスエット(2490〜2990円)、機能性中綿のアウターなどを強化品番として打ち出す。
茅島みずき、大平修蔵を起用
日本国内でも、23年春夏はカーゴパンツや“スウェT”(スエットのように見えるTシャツ)などがヒット。ブランド全体として、22年9月〜23年5月の9カ月間の売上高は前年同期比19.7%増の2279億円、営業利益は同44.6%増の258億円と、品番数絞り込みが効いて好調に推移している。
グローバルなブランドを目指し、今秋は7年ぶりにクリエイティブも刷新した。デザインスタジオのYARと組み、イメージモデルに俳優・モデルの茅島みずき、俳優・モデル・ティックトッカーの大平修蔵を起用。「従来は国内のお客さまにいかに分かりやすく伝えるかを意識してきたが、これからは国内外のお客さまにむけて、(広告ビジュアルなどの)クリエイティブをグローバル水準にしていく」と柚木社長。