特集内で一番興味深かったのは、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパンのノルベール・ルレ社長のインタビューです。記事をチェックしてくれた副編集長は、「ある意味、ぶっ飛んでますね」という感想を教えてくれました。その通りだと思います。私も、良い意味で「超越してるな」と思いました。
最初に驚いたのは、見識の広さと深さでしょう。例えば「仮にヨーロッパ大陸の上に置くとしたら、日本列島はフランス西部からテルアビブまでをカバーする。日本は、実はとても大きな国で、だからこそ無限のチャンスがある」とおっしゃいます。コレ、日本人で知っている人は、どれだけいるでしょうか?スペースの都合で割愛してしまいましたが、福島で行われる国の重要無形民俗文化財、相馬野馬追についてお話になられるなど、興味の対象と好奇心が幅広いことに驚きました。「ラグジュアリーは何千年も前から存在したが、加速度を増して発達したのは、人々が旅行するようになった19世紀の半ばから。『ティファニー』は南北戦争を機に成長している。ラグジュアリーの発展と人々の交流は、切っても切り離せない存在だ」など、独自の、しかし確固たるラグジュアリー論にも注目です。
興味の対象や好奇心の幅広さは、ビジネス規模にも由来するのでしょう。様々なブランドを擁する一大コングロマリットは、私たちが想像するだけでも百貨店やデベロッパーからメディア、もちろんエンドユーザーまで、さまざまな人たちとの仕事や交流の上に成り立っています。LVMHクラスの規模感だと、政治と繋がることも欠かせないでしょう。そんな組織を率いるルレ社長のインタビューは、1時間の間に伊勢丹から三井不動産、「ルイ・ヴィトン」から「ロエベ」、そして私たちのようなメディア、何よりエンドユーザーまで、様々な人たちが登場します。視野の広さと同時に、関わる人たちの多さ、何より人脈、トップとしての配慮も感じられます。
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