中国コスメ「花西子(FLORASIS)」が伊勢丹新宿本店1階の化粧品プロモーションスペースで10月31日までの期間限定ポップアップを開催中だ。中国のカラーコスメで同店への出店は初。9月25日には、本国以外では初の先行発売となる“京劇彫刻マルチパレット”(6930円)が登場する。
「花西子」は2017年に誕生。中国・浙江省に本社を置く杭州宜格化粧品が展開する。創設以来、「美が、花をひらく」をコンセプトに研究開発を行い、中国の伝統文化と古典美学を商品パッケージやデザインに取り入れている。「国潮(グオチャオ)」といわれる中国の伝統文化と現代的な要素を融合したスタイルが中国のZ世代を中心にブームとなったことを追い風に、中国国内ではTモール(T MALL、天猫)やドウイン(DOUYIN、抖音)など主要ECサイトの売り上げ上位に上がるトップブランドとして知られる。
中国メディアによると、同ブランドの21年の売上高は54億元(約1088億円)を突破。昨年12月には、実店舗1号店であり旗艦店となる「西湖シークレットガーデン」を杭州・西湖と高級ショッピング街湖畔街にオープン。2フロア、総面積1000㎡の売り場は、ブランド単独では当時国内最大のショップとして注目された。「中国の魅力を世界に伝え、100年続く企業に」をビジョンに、現在は100以上の国と地域で販売する。
日本へは21年に初の国外進出としてアマゾン(AMAZON)に出店。上陸初日にアイコン商品の“百花同心錠 彫刻リップ”(5600円)が3時間で完売した。日本を重要なマーケティング市場と捉え、今年から積極的なオフライン展開を開始した。2月のアットコスメトーキョー(@COSME T OKYO)でのポップアップを皮切りに、5月には大阪に物流倉庫を構え、日本全国に約3日で商品を届ける体制を構築。7月にはブランドECサイトをオープンし、9月1日にオープンしたアットコスメオーサカ(@COSME OSAKA)にも導入する。日本では、ビューティブランドのブランディング戦略やグローバル展開を手掛けるモールドブレイキング(MOLDBREAKING)をパートナーにビジネスを展開する。
同ブランドの成長を支えるのは研究開発力で、毎年40億円以上、22〜26年までで200億円以上を投資する。ユーザーの好みや消費習慣を長期間に渡り研究し商品開発に反映する。ローカライズも重要な戦略に掲げ、日本市場においては“百花同心錠 彫刻リップ”や“百鳥朝鳳 アイシャドウパレット”(6700円)、“玉養桃花 ルースパウダー”(4100円)などのカラーコスメの人気が高いことから、先行発売品もカラーコスメを用意した。先行発売する“京劇彫刻マルチパレット”は中国の伝統的な京劇の仮面や髪飾りからインスピレーションを得た。
任剛睿(ニン・コウエイ)=共同創業者は6日に行われた会見で、「伊勢丹新宿本店は日本のオフライン小売業界の最高峰。彼らとの協力により、新たなタッチポイントを創出できると期待している」と述べた。同ブランドは今後5年でアジアのほか北米やヨーロッパに50店舗出店を掲げ、そのうち25店舗を日本国内で計画する。陳怡潔(チン・イケツ)=常務取締役は「来年は日本で5つの百貨店と10のオフライン小売りチャネルで展開する予定」と話した。