アメリカの子ども服のリセールが急成長している。今年7月にメルカリUS(MERCARI US)が発表した2023年度リユースリポートによると、22年に最も成長したカテゴリーは前年比19.2%増の子ども服で、取引額はおよそ19億ドル(約2774億円)。2位のメンズウエアの14.5%増に大きく差をつける結果となった。リセールで人気の子ども服ブランドは、プチプラ子ども服の「カーターズ(CARTER’S)」やシューズの「クロックス(CROCS)」、オーガニックコットンなどを使ったプリント柄が特徴の「ケイト クイン(KATE QUINN)」、ターゲット(TARGET)の「キャット&ジャック(CAT & JACK)」、EC専門のスリープウエア「リトルスリーピーズ(LITTLE SLEEPIES)」。中古品の売買が盛んな米リユース市場は、22年と比較して31年には86.7%増の3250億ドル(約47兆4500億円)に達すると見込まれており、中でも子ども服は同期間に146%の成長率が期待されるという。
こうした中、注目を集めているのが循環型マーケットプレイス、スウォンドル・ソサエティ(SWOONDLE SOCIETY以下、スウォンドル)だ。スウォンドルはサイズアウトや型落ちした子どもの衣料品を一般ユーザーやアパレルブランドから下取りし、交換または販売するフルサービスのプラットフォームを提供している。一般ユーザーは会員登録後に、再利用可能な配送バッグを受け取り、不要になった古着または新品の持ち物をバッグに入れて返送。その後スウォンドルが査定し、5段階のレベルに評価する。ユーザーはサイト上に掲載されたアイテムを購入できるほか、査定品と同じレベルの新品または中古のアイテムと交換することができる。2児の母である創業者のジェン・ズクリー(Jen Zuklie)最高経営責任者(CEO)は、親同士が不要になった子ども服を気軽に交換できる場をつくりたいという思いから起業。また、交換することで廃棄される衣料品を減らすことも目的としている。
スウォンドルは自社サイトに加え、米国の小売最大手ウォルマート(WALMART)やファッション専門のフリマアプリ、ポッシュマーク(POSHMARK)と中古品を売買するリコマースのネットワーク提携を結んでおり、子ども服ブランドの「ピッコリーナ(PICCOLINA)」や「マイトリー(MIGHTLY)」「クラシック・プレップ・チルドレンウエア(CLASSIC PREP CHILDRENSWEAR)」「ロケッツ・オブ・オウサム(ROCKETS OF AWESOME)」なども展開している。さらに、シーイン(SHEIN)のリセールパートナーでもあるトリート社(TREET)との戦略的提携により、子ども服の「ライリーアンドクルー(RYLEE + CRU)」とママバッグの「ジュジュビー(JUJUBE)」の販売と下取りのプログラムをサポートしている。また、ショッピファイ(SHOPIFY)対応のブランドは、独自のリセール&下取りのプログラムの立ち上げも支援する。
スウォンドルはさらなる拡大を図り、7月に子ども服のリセール・マーケットプレイスのショップトゥモローズ(SHOPTOMORROWS)を買収した。ショップトゥモローズの既存の顧客ベースを獲得し、取り扱い数を拡充する狙いだ。ショップトゥモローズのヘイリー・ライバーマン(Haley Lieberman)創業者は、「子ども服は、従来の小売やリセールの委託モデルではコストがかかるため、持続することが難しい。そうした背景から、当社は下取りをベースとしている。スウォンドルと共に、さらなる成長を図る」と語る。またスウォンドルのズクリーCEOは、「両社のビジネスモデルとミッションを組み合わせることによって生まれる相乗効果が互いを引き寄せた。ヘイリーの専門知識と広範なネットワークは、子ども服市場の持続可能性と循環性を向上させるという私たちのミッションにとって大きな財産となるだろう」と期待する。