ファッション

「4℃」が新たな試み ジュエリーの本質的な魅力を伝える体験型ジュエリーショップ“匿名宝飾店”をオープン

匿名宝飾店・4°C

「4℃(ヨンドシー)」は9月8〜24日、原宿・バンクギャラリーで体験型ジュエリーショップ “匿名宝飾店”を開催している。同ショップではブランド名にとらわれず、来場者に肌でジュエリーを楽しんでもらうため、看板やショップバッグ、事前告知に至るまで全て匿名で実施。20日には主催ブランドが「4℃」であることが明かされ、SNSでも話題だ。

「あなたの中で
もう一度デビューしたいから」
ジュエリーそのものの魅力を発信

「ブランド名からではなく、ものを見て、自分の指や肌の上でジュエリーを好きになってほしい」── そんな思いを込めた“匿名宝飾店”では、ブランドイメージに左右されることなく、ジュエリーそのもののデザインの魅力を感じてもらうための工夫を凝らし、新たな店舗体験を提供する。オープン前からSNSで話題になり、ブランド名を予想する人も多く見られた。

ジュエリーの魅力を
肌の上で感じてもらうため、
ガラスショーケースを
外して展示

“匿名宝飾店”では、ジュエリーショップにありがちな気疲れや緊張感から解放され、気軽にジュエリーを手に取ることができる環境づくりのため、ガラスショーケースをなくした展示方法を取り入れた。展示されたジュエリーは全てその場で試着できるほか、一部商品はショッピングエリアでの購入も可能だ。また、指のサイズやパーソナルカラー、顔と首の形をもとに、自分に似合うジュエリーを診断できる“ジュエリーカルテ”や、気に入ったジュエリーを身に着けインスタントフォトを撮影できるスポットも用意。一般的なジュエリーショップとはひと味違う体験型展示で、来場者のジュエリーに対する心理的ハードルを下げる狙いだ。

オリジナルドリンクが楽しめる
くつろぎ空間も併設

ユニークな店舗体験の最後には、無料配布されているオリジナルドリンクを飲みながらゆったりとくつろげるエリアも。さらにSNS投稿やアンケートに参加した来場者はカプセルトイに入ったオリジナルの景品(数量限定、なくなり次第終了)をプレゼントする。

「無名だった創業当初のように、ジュエリーに対して
生の声を聞く機会が作れないか」

WWDJAPAN(以下、WWD):“匿名宝飾店”を実施した背景とは?
瀧口昭弘エフ・ディ・シィ・プロダクツ代表取締役(以下、瀧口):私たち「4℃」は、昨年創業50周年という節目を迎えた。SNSでブランドへの意見が可視化されやすくなり、「ブランド名によってイメージが固定化されているのでは」という課題を感じた。ジュエリーよりもブランドへの意見をいただく機会が増えた今だからこそ「もう一度無名だった創業当初のように、ジュエリーに対して生の声を聞く機会をつくれないか」── そんな思いがあり、あえてブランド名を隠し、私たちが大切にしている”物作り”を試す場として実施した。

WWD:試着自由という斬新な展示方法の意図とは?
瀧口:“ジュエリーショップでスタッフが手袋を着け、ガラスケースの中から商品を出す”という緊張感の中で試着することが、自分に似合う商品との出合いや着け心地を試すことへのハードルになり得ると感じていた。今回“匿名での開店”というチャレンジの中で、「緊張感から解放され、ジュエリーを好きになる新たなきっかけになれば」と思い、通常店舗ではなかなか実現できない試着のしやすさという部分にこだわった。

WWD:“匿名宝飾店”ではフォトジェニックな展示スタイルも好評だ。どんなアイデアを元に制作したのか。
瀧口:ジュエリーを好きなだけ選んで試せる“ジュエリービュッフェ”は、「試着に対するハードルをどのように楽しみながら越えてもらえるか」を考えた末のアイデア。他にも“フィンガーフィッティングルーム”は、リングを試着した指が主役として輝くような一つの舞台として、フィンガーサイズの小さな試着室をテーマに制作した。そして会場全体にさまざまなモチーフの鏡を配置することで、ジュエリーを着けた自分の姿を様々な場所で見て、似合う商品をじっくり試せるように工夫した。

WWD:“匿名宝飾店”に対する反響をどのように捉える?
瀧口:9月8日のオープン以来、約4000人のお客様が来店し、8割以上のお客様から「ブランド名の正体を知って意外だった」「ブランドのイメージが変わった」などと感想をいただいた。中には「ジュエリーショップに入りにくさを感じていたので、参加できて良かった」といった声もあり、これまでジュエリーショップや「4℃」との接点が持ちにくかった新たなお客様に出会う機会にもなったと感じる。さらに、ジュエリーのデザインについても「シンプルで洗練されている」「肌なじみが良い」など、物作りに関する意見や生の声を聞けたことは成果の一つだ。

WWD:「4℃」として、今後どんな展望を描く?
瀧口:“人が着けて初めて輝くジュエリー”という「4℃」の軸は変えず、これからも「身に着ける人の日常を輝かせるブランドであるために何ができるか」を考えていきたい── 今回の“匿名宝飾店”で聞こえてきた声を、これからの物作りやチャレンジに活かしたいと思っている。

PHOTOS:KAZUSHI TOYOTA
問い合わせ先
エフ・ディ・シィ・プロダクツ
03-5719-3266