街にはようやく秋の気配が感じられるようになり、間もなく服屋の稼ぎ時である季節が到来。となると、ファッション関係者はうっかりコロナ前に逆戻りし、仕事を詰め込んでしまいそうですが、ダメダメ(笑)。覚えていますよね?パンデミック下で自宅にこもり、感染におびえつつも実はちょっとホッとしたことを。新しい物を次から次へと作り、売り、前だけを向いて走り続けてきた時間が強制的に止められたことで、久しぶりに自分の身の回りに丁寧に目を配ることの喜びを思い出したことを。コロナが明け、“ニューノーマル”をそれこそトレンドワードとして消化しちゃったりせずに、今こそ新しい生活やスタイルをファッションを通じて提案するときだと思います。ファッションにはそれだけの影響力がありますから!
ファッション業界は東京を皮切りにウィメンズのファッションウィークシーズンに突入しました。盛り上がった東京に続いて、ニューヨークも面白そうです。「ラルフ ローレン」「コーチ」をのぞけばビッグメゾン不在であるニューヨークの見どころは新進ブランドたち。ショースケジュールを眺めても正直知らないブランドの方が多いのですが、ルック写真を眺めていると新進ブランドが“好き勝手”やっている感じが伝わってきます。
日本とニューヨークを行き来しているフォトグラファーのレスリー・キーが先日、「今のニューヨークは手作り感があっておもしろいよ~。若手が自分たちの手で自分たちの街を盛り上げようとしている感じ」と楽しそうに教えてくれました。大都市ニューヨークが、ある意味内向きに、ローカルで盛り上がっている様子が伝わってきます。
インスタでも何でも情報が取れる今は、ショーや展示会を見に行かずとも誰でもどんなブランドにもアクセスできる時代ですが、ここまで新しい、知らないブランドが増えてくると誰かに情報を整理し、見どころを指南してほしいですよね。読者の皆さんには「WWDJAPAN」の現地リポートを頼りにしていただきつつ、売り場での表現には買い付けを担当するバイヤーの目利きに期待します。
ラグジュアリーブランドがどんどん高額化し、一般市民の手から離れつつある今、“ニューノーマル”を有言実行するためには、ファッションをどう取り入れて楽しんだらいいのか。服の作り手の声が伝わってくるような売り場を通じて、新しい時代の到来を体感させてほしい。目利きである、買い付けのプロの腕の見せ所です。
IN FASHION:パリコレもストリートも。ジュエリーもインテリアも。今押さえておきたい旬なファッション関連ニュースやコラムを向 千鶴執行役員 WWDJAPAN 編集統括がピックアップ。日々の取材を通じて今一番気になる話題を週に一度お届けします。エディターズレターとは?
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