エアークローゼットは、パーソナルスタイリングのサブスクレンタル「エアークローゼット」などを運営するにあたり、さまざまな最新技術の導入とデータ分析を行なっている。2021年6月には、同社データサイエンスチームと計算型人工知能で世界トップクラスの研究者である明治大学の高木友博教授が率いる高木研究室とが共同研究を開始。スタイリングサポートやパーソナルレコメンド、レンタルアイテムの返却予測などの領域でAI の導入を進めながら、約 8 年をかけて蓄積してきた600 万コーディネートにおよぶパーソナルスタイリングに関する独自データの活用などを研究している。
6月には生成系AI活用の可能性について、洋服の仕入れとパーソナルスタイリング領域の業務効率化を図る研究について発表。発表当日の株価がストップ高になるなど、大きな反響を呼んだ。その具体的な内容と計画とは?天沼聰社長兼CEOと森本奈央人執行役員アセット戦略室長に聞いた。
WWD:今回の研究の1つ目が、「ネット上の画像情報や言語情報から、背景にあるトレンドを読み取り、未来の需要を予測する」ということだが、具体的にはどのように行うのか。
森本奈央人執行役員アセット戦略室長(以下、森本):SNSなどでどんなものが流行しているのかなど、ネットに公開されている多くの画像を引っ張ってきて、洋服の特徴をタグ付けする。例えば、「パフスリーブ」というキーワードが多くタグ付けされた場合、これがトレンドの中の一つの要素だろうという仮説が立つ。画像は全て入手元が明確で、コレクション等の将来的な情報とSNS等の直近の情報をそれぞれ分析している。画像へのタグ付けによって、その中で共通点を探り、弊社の洋服の調達に生かそうと考えている。これまで画像に写っているものの中から「洋服だけ」を識別するのが難しかったが、その精度が上がったことで、こうした分析がしやすくなった。
WWD:タグは全部でいくつくらいある?
天沼聰社長兼CEO(以下、天沼):数百種だ。まず、シャツやパンツといったカテゴリーに分け、その上でディテールや素材、シルエット、色などのタグを付けていく。要は洋服を構成する情報全てをデータ化するということ。タグについては、これまでずっと研究してきた。タグの登場頻度によってトレンドの重要度が決まってくるのを前提に、現状把握と先の予測をする。
AIで調達希望アイテムのイメージを生成
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