ケリング(KERING)は9月11日、傘下ブランド「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」を率いるサラ・バートン(Sarah Burton)=クリエイティブ・ディレクターの退任を発表した。今月30日にパリ・ファッション・ウイークで披露する2024年春夏ウィメンズ・コレクションが最後のコレクションになる。後任は、追って発表予定だ。
バートン=クリエイティブ・ディレクターは、ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズ校在学中の1996年に同ブランドでインターンを始め、卒業後に入社。ファッション界の“異端児”と呼ばれた創業者のリー・アレキサンダー・マックイーン(Lee Alexander McQueen)のパーソナルアシスタントになり、2000年にはウィメンズウエアのヘッドデザイナーに昇進した。10年2月にリーが自殺によって40歳でこの世を去った後、同年5月に現職に就任。彼女が初めて一から手掛けた11年春夏は「アレキサンダー・マックイーン」らしい美学にフェミニンな要素を加えたコレクションで好評を博し、その後もリーのシャープなテーラリングとダークかつグラマラスな美学に忠実なコレクションを提案し続けてきた。11年に英国王室のキャサリン妃のウエディングドレスを手掛けたことでも知られ、同年にブリティッシュ・ファッション・アワード (現ザ・ファッション・アワード)でデザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞。12年には、ファッション業界への貢献が認められ、チャールズ皇太子(当時・現在は国王)から大英帝国勲章(OBE)が授与された。
退任に際し、バートンは「『アレキサンダー・マックイーン』で取り組んできたことと素晴らしいチームを誇りに思っている。彼らは私の家族であり、26年間ここは自分にとってのホームだった。私を信じ、この素晴らしい機会を与えてくれたフランソワ・アンリ・ピノー(Francois Henri Pinault)(=ケリング会長兼CEO)に感謝したい。そして、何よりも多くのことを教えてくれたリーへの感謝の思いを忘れることはない。私は未来と自分の次の章を楽しみにしているし、このかけがえのない時間を胸に抱き続けていくだろう」と述べた。
また、ジャンフィリッポ・テスタ(Gianfilippo Testa)「アレキサンダー・マックイーン」CEOは、「メゾンの歴史の中で、このような重要な章をつづってくれたサラへの感謝は計り知れない。26年にわたる彼女の貢献は、消えることのない足跡を残すだろう」とコメント。ピノー会長兼CEOは、「自身の経験や感性、才能を生かし、サラはこのアイコニックなメゾンのアーティスティックな表現を進化させ続けてきた。彼女は、リーの遺産やディテールへのこだわり、ユニークなビジョンを守り続け、同時に彼女自身のパーソナルかつクリエイティブなタッチを加えた」と評価し、感謝の意を表した。