ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が、英国人デザイナー、クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)による「ユニクロ」のウィメンズ新ライン、「ユニクロ:シー(UNIQLO : C)」の発売記者会見に急遽登壇した。元々予定はなかったが、「昨日彼女に2回目に会い、あまりにもすばらしかったので、僕が会見に出ることで(メディアの注目などの点で)多少でもプラスになれば」(柳井会長)と、当日朝に登壇を決めたのだという。
「ユニクロ:シー」は、9月15日にファーストコレクションである2023年秋冬物を発売予定だ。それに先立ち、13日にクレアと俳優の白石麻衣が登壇する芸能系など一般メディアに向けた記者会見と、クレアとユニクロのR&D責任者である勝田幸宏ファーストリテイリンググループ上席執行役員が登壇するファッション媒体向けの会見、インフルエンサーらを招いたパーティーの3つを企画。柳井会長が突然登壇したのは、一般メディア向けの会見だ。
近年、有力ブランドやデザイナーと次々に協業している「ユニクロ」だが、こうした会見に柳井会長が登壇するのは実はまれ。ただし、09年にジル・サンダー(Jil Sander)氏と組んで「+J」を立ち上げたときには、サンダー氏と共に登壇し、笑顔で握手をする写真と共に大きく報道された。「+J」は、「ユニクロ」がグローバルで認知を得るきっかけとなった大プロジェクト。柳井会長は「ユニクロ:シー」も「+J」と同様に、世界一のファッションブランドへの重要なステップアップの機会になり得ると、かなり期待を寄せているようだ。
同社は12日には全世界からユニクロの幹部約4500人が東京に集まるコンベンションを開催しており、そこにクレアが登壇したのだという。柳井会長は「コンベンションで、ロンドンに住んで子どもを3人育てていると語った彼女は非常に自然体だった。私は普段はそういうことがほぼないが、彼女の話を聞いてファンになった。すごくワイズ(聡明)で自然体であり、こういうデザイナーはほとんどいない。“LifeWear”の最高峰を作る上で、彼女は絶対にふさわしい」「デザインとは、自分を注ぎ込みながら、同時にそれを客観的に見るということ。彼女はそれを自然体なまま、最高水準でできる人」とクレアを絶賛。柳井会長はこれまでも、優れたデザイナーの条件として、聡明さや客観的視点を持って普遍性と時代性の調和が取れるといった要素を、会見や取材の場で何度かあげている。
柳井会長の言葉に対し、クレアは「そのような過大な言葉をいただき恐縮だ。昨日のコンベンションでは私も柳井会長の話を聞き、その聡明さに学ばせてもらうことが多かった」と応えた。