ビューティ

「アディクション」が初のアメリカ進出 米コーセーCEOが語る米国事業4倍への布石

コーセーが展開する日本発のメイクアップアーティストブランド「アディクション(ADDICTION)」は9月8日、米国に初進出しECサイトを開設した。ローンチを記念して、米百貨店ブルーミングデールズ(BLOOMING DEAL’S)のニューヨーク59丁目店で10月5日までポップアップを開催する。米国ではブランド名を「アディクション トーキョー(ADDICTION TOKYO)」として展開する。

米国市場では、ブランドを代表するシングルアイシャドウの“ザ アイシャドウ”(全99色、各20ドル=約2920円)を主力に据え、“ザ マットリップ リキッド”(全18色、各27ドル=約3942円)やチークカラーの“ザ ブラッシュ”(全28色、各26ドル=約3796円)など、カラーバリエーションと質感に定評のあるポイントメイクアップ商品を販売する。

「アディクション」の米国進出はコーセーの戦略目標の一環だ。同社は2026年までに米国事業を4倍に拡大することを目指す。同市場では現在、「コスメデコルテ(DECORTE)」や「雪肌精」「ジルスチュアート ビューティ(JILL STUART BEAUTY)」を展開する。松原徹コーセーアメリカCEOは「最も優先するのは日本の美容とウエルネスに対するアプローチを世界に広めることだ。競争力のあるブランド群を育成して、世界で存在感を強めていく」と話す。中でも芸術性を重視する「アディクション」の理念は、プレステージの消費者から共感を得られるとみている。「米国市場におけるわれわれの使命は、自己発見の手段となり、一人一人が持つ芸術性をたたえることだ。『アディクション トーキョー』は美を定義するのではなく、最も生き生きとした本当の自分へ解放する場となる」。

業界筋によれば、「アディクション」の米国での初年度売り上げは1000万ドル(約14億3000万円)に達する見込みだ。09年のブランド設立後、16年に香港と韓国、17年に台湾と中国の越境ECに出店した。世界最大のメイクアップ市場である米国は次のステップとして自然な流れだったという。「アメリカの消費者のジャパニーズビューティに対する関心は年々高まっている。アメリカ市場は、日本に比べて活発で多様性に富んでいる。上陸後3〜5年は野心的な目標を持っているが、最初の2年はブランドの資産価値を強固にすることに集中する。そのため拡販ではなく、メイクアップアーティストにフォーカスする」。

KANAKOクリエイティブディレクターは9月13日に閉幕したニューヨーク・ファッション・ウイークに参加し、「エリア(AREA)」と「マンサー・ガブリエル(MANSUR GAVRIEL)」のショーのメイクを手掛けた。SNSを通じてバックステージの模様を発信し、ブランドの認知度を上げるとともにプロのメイクアップアーティストとしての地位を高めた。「私はブランドの哲学とそのルーツであるメーキャップ・アーティストリーに深く共感している。プロ仕様でありながら、誰もが自分の中のアーティスト性に気付くような使いやすいメイクアップ商品を作ることで、あらゆる人の手助けになることが私のゴールだ。自分自身の美しさを楽しみ受け入れながら、いろんな色や質感の商品、ルックを恐れずに試してほしい」とコメントした。

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