「マイケル・コース コレクション(MICHAEL KORS COLLECTION)」が2024年春夏ランウエイショーを9月11日(ニューヨーク現地時間)にブルックリンのウォーターフロントにあるドミノ・パークで行った。マンハッタンの摩天楼がイーストリバー越しに見渡せる絶景に設けられた会場は、突然、南の島のリゾートにでも迷いこんだような異世界のしつらえ。白いウッドデッキの長いランウエイと色鮮やかなブーゲンビリアの花々が、ゲストをバケーションという逃避行へと誘った。会場にはブレイク・ライブリー(Blake Lively)やハル・ベリー(Halle Berry)、ヴァネッサ・ハジェンズ(Vanessa Hudgens)、冨永愛ら多くのセレブの姿もあり、さらなる花を添えた。
「今シーズンは、皆さんをホリデーバケーションへと導きたい」と語ったデザイナーのマイケル・コースの言葉通り、ランウエイに登場したモデルたちがまとうのはオプティミスティックなリゾートウエア。ファーストルックを飾ったのは真っ白のレースで仕立てた軽やかなロングドレス。白で統一したバケットバッグもリゾート感を盛り上げる。フラットシューズとバケットバッグの組み合わせは、今は亡き、ジェーン・バーキン(Jane Birkin)の伝説のスタイルを彷彿とさせる。マイケルのコレクションはいつだって、彼の母親をはじめ、ミューズの女性たちがこよなく愛したスタイルからインスピレーションを得ている。マイケルが好む1960年代のサウンドトラックに合わせて、続々と60年代のムードとミューズたちの面影を取り入れたルックがランウエイを行き交った。
イノセントな雰囲気のピュアホワイトのレースのルックに続くのはブラックレースのロングドレスやスイムスーツに合わせた軽やかに揺れるシフォンのスカート、クロシェレースのシックなドレスなどコントラストが効いている。レースで仕立てたメタリックゴールドのミニドレスやスウイムスーツ、ボタニカル柄のリゾートスタイルのロングドレスなど、南の島のバケーションからニューヨークや都市で過ごすアーバンバケーションまでーー。バケーションという逃避行の行き先はさまざまだ。
「マイケル・コース」らしいキャメルやブラウンのグループはレースやニット、シフォンなど、異素材使いで変化をつけ、上品なリゾートスタイルを完成させている。風になびくマキシドレスからダブルブレストのジャケットとミニスカート、ざっくり編んだニットランジェリーにカーディガンを羽織ったリラックススタイルまでバリエーションは豊富だ。黒のテーラードスタイルやゼブラ柄のセットアップなど、シックなリゾートスタイルを得意とする反面、今シーズンはカラーバリエーションも豊富でオーバーサイズのラベンダーカラーのニットやネオンピンクのスパンコールドレスも登場した。逃避行の旅に持ち込むワードローブの広さを考えると心が高揚する。
コレクション中は終始、マイケルが用意したバケーションへと逃避行してしまったようだ。ブーゲンビリアの花々とオプティミスティックなリゾートウエア。視界に入る大都会ニューヨークとのコントラストが実に印象的だ。シーズン問わずに世界中を飛び回ってバケーションに行くことが叶うニューノーマルな世の中。今後、逃避行へのワードローブのバリエーションも増えそうだ。