アシックスの次期社長に決まった常務執行役員の富永満之氏(61)と現社長の廣田康人氏(66)が、15日に神戸本社で記者会見を開いた。
富永氏は2018年にアシックスに入社する前はIBMやSAPで要職を歴任するなど、デジタル分野に精通する。廣田社長は後継に指名した理由を「グローバルとデジタル」だと語り、「アシックスが真のグローバルプレイヤーになるためには、彼の経験が生きる。当社が掲げるスポーツ×デジタルの戦略において絶好のリーダーだ」と述べた。富永氏も「まだ先進国で成長の余地はあるし、新興国に至ってはこれから」「ランニングシューズでナンバーワンになる」と応えた。
アシックスはランニングシューズがけん引し、過去最高業績を更新し続けている。すでに売上高の8割が海外になった。8月には23年12月期の連結業績予想を上方修正し、売上高5500億円(2月発表は5100億円)、営業利益は460億円(同370億円)、純利益は250億円(同200億円)とした。8月末には時価総額が初めて1兆円台に乗った。
しかしアシックスが主戦場にする海外のスポーツ市場では、売上高6兆円台のナイキ、3兆円台のアディダスは別格としても、かつてはアシックスと近い規模だったプーマが1兆円台、アンダーアーマーも8000億円台と大きく伸び、コロナ下で急成長したルルレモンも1兆円を突破している。ライバルたちの背中は遠い。競争力のある商品開発はもちろん、傘下に収めたランニングアプリやレース登録プラットフォームなどデジタルを絡めた顧客拡大がカギとなる。