モノが素晴らしくても、「届ける」にまで思いを馳せないと売れない時代。「マクアケ(MAKUAKE)」で多数の応援購入という形で支持されるプロジェクトは、モノづくりからコミュニケーションに至るまでの設計の何が違うのか?この連載では、モノづくり企業に伴走するキュレーターが成功体験を伝授。時にモノづくり企業が苦手とする、訴求ポイントの整理からターゲットの設定、トップ画像やキャッチコピーに至るまでのコミュニケーション上の工夫を伝授してもらう。今回は、100年前のデニムを復刻、そしてファンと共創した山本被服のお話。
今回お話を伺ったのは、山本被服の取り組みです。同社は「“Uni-Form”を提供することで、お客さまに感動、幸せをもたらす」を経営理念に掲げる作業服のメーカー。1923年にロサンゼルスで創業し、95年間にわたって企業の作業着や制服を製造・販売しています。国内の取引先企業は、7000社にのぼります。
作業着や制服に並ぶ事業の柱として、今注力しているのは自社商品の開発です。山本被服の創業者であり、現在の山本豪彦代表の高祖父(ひいひいおじいちゃん)が約100年前の1926年にデニム製品を開発したことから、同社は100年前に実在した日本のデニムブランド「スターオーバーオール(STAR OVERALL)」の復刻に取り組みます。
初めてtoC向けの商品を作って販売するにあたり、山本被服は「マクアケ」を活用。第1弾のプロジェクトでは「100年前に実在した日本初のデニムブランドを令和に復刻」と題し、限定100着のオーバーオールを2021年秋に販売。わずか2週間で完売するなど、山本被服のプロジェクトは大きな反響を集めました。
第2弾のプロジェクトでは、「スターオーバーオール」には創業者である山本夫妻に「離れて暮らす子どもたちと一緒に生活したい、かけがえのない時間を共に過ごしたい」という家族を思う気持ちがあったことから、家族で着用できるデニムオーバーオールを販売。130万円以上の応援購入が集まるなど、こちらも話題を集めました。
そして現在、山本被服は第3弾のプロジェクトとして、ファンの人たちからの「ぜひ作ってください!」という要望をもとに、100年前に思いを馳せたカバーオールを復刻。プロジェクト開始後、すぐに「早く袖を通してみたい」「オーバーオールと合わせて着るのが楽しみ」といった期待の声が多数集まっています。
今後、山本被服はファンと一緒に「スターオーバーオール」というブランドを育てていき、新商品の開発やリアル店舗での販売なども検討していくとのことです。
訴求ポイントの整理
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