「バーバリー(BURBERRY)」は9月18日(ロンドン時間)、チーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めるダニエル・リー(Daniel Lee)によるセカンドシーズンとなる2024年春夏コレクションを発表した。曇天の空と厳しい寒さ、色彩を欠いたロンドンの冬を思わせたファーストシーズンから転じ、随分軽やかにシフトした印象だ。冬のロンドンに馴染みが薄い日本人にとっては、24年春夏の方が共感できるラインアップだろう。
コレクションは、トレンチコートの再解釈から始まった。最初に登場したのは、漆黒のトレンチ。オーバーサイズ一辺倒のシルエットに別れを告げたファッション業界に呼応する細身のトレンチは、ベルトループをローウエストに配置。トレンチコートは、ハイウエストの位置でベルトを絞るとフィット&フレアのシルエットに変わってしまうが、ローウエストだとシャープなプロポーションが維持できる。風を避ける襟は高く、エポーレットは大きくて存在感抜群。ワンピースやドレス感覚で着用したり、フレアパンツやチャンキーヒールのローファーを合わせたりした。続いたのは、レザーのライダースやシルクサテンのブラウスをダブルに仕上げたり、大きなエポーレットをあしらったりのトップス。「バーバリー」のヒーロープロダクトと言えるトレンチコートの特徴を他のウエアにも応用して、ブランドらしさを醸し出す。
ユニホームに着想を得たコレクションは、いずれも立体的に仕立てた力強いショルダーラインも特徴だ。中でも繊細なチュールを丁寧に手繰り寄せて生み出したナポレオンジャケットは、ロイヤルブルーやブラックなどの高貴な色に染まり、力強くもエレガントで優しい。機械編みなどの工業的なアプローチと、職人による手作業を組み合わせ、ダニエルらしい構築的なコンパクトシルエットと着心地の同居を試みる。
ブランドらしさ、ダニエルらしさの表現は、彼自身が半年前に発表したバッグやウエアのモチーフの転用でも顕著だ。バッグに用いた「バーバリー」の頭文字の「b」を象ったメタルバックルなどは、シルク素材のドレスやスカーフにプリント。イングリッシュガーデンに咲くローズやポピーなどの花々や、ストロベリーやダークチェリーなどの夏の果物も、前回同様ダークな色彩でドレスのプリントや刺しゅうなどで取り入れた。
欲を言えば、ジャカードのベストなどで取り入れたバーバリーチェックは、もう少し見たいところ。キルティングなどで表現したバーバリーチェックのシールドバッグなどに期待したい。バッグは、ファーストシーズンで発表したモデルをブラッシュアップしている。ラグジュアリーブランドとして戦うには、バッグ&シューズに圧倒的な美しさは欠かせない。その意味で、既存モデルのアップデートを選んだのは、賢明な選択だっただろう。