毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2023年9月18日号からの抜粋です)
新関:4年前からサウナに通っていて、ファッションやビューティ企業の参入を見てきました。なぜ今サウナがブームなのかを掘り下げながら、企業が参入する理由や成果を知りたいと思い、特集を企画しました。
小池:堀田湯の取材が良かったですね。家業で銭湯をやってきたけれど、60年代の終わりから家庭に内湯が普及し始めて人は来なくなってしまうし、入湯料が520円と統制されていて、そう簡単に儲からない。銭湯がどんどん廃業していく中で、サウナを導入したことで客単価を倍にして、若者を取り込むことができています。こういうふうに古く廃れそうなビジネスが、マネタイズの方向性を変えることで、輝きを取り戻すというのは、ファッションやビューティの世界にも転用できそうです。
新関:堀田湯のように新たな視点を取り入れた銭湯サウナが増えていて、一ファンとしてうれしいです。若い世代も楽しめて、新客を獲得しているので好循環が生まれますよね。私は丸井の「サウナ物産展」担当者の取材が印象的でした。全国のサウナ施設のオリジナルグッズを集めた企画なのですが、サウナ好きの人たちは好きな施設を応援するためにグッズを買ったりするんです。それをオタク文化的に捉えていて、「アニメが日本を代表するカルチャーになったように、サウナも文化として根付かせたい!」とアツかったです。今回の取材では私たちも含めて「文化として根付かせたい」という人が多かったですね。
小池:フィンランドのサウナブランド最大手「ハルビア」のグローバルアンバサダーにTTNEのととのえ親方(松尾大さん)とサウナ師匠(秋山大輔さん)が起用されたのは、快挙ですよね。ファッション業界で例えれば、「ルイ・ヴィトン」のデザイナーに起用されるクラスです。
新関:(笑)。彼らの盛り上げもあり、ファッション層も取り込みながら、今のブームになっていますよね。いろんなバックグラウンドの人が一堂に楽しめるムードがこれからも続いてほしいです。
小池:人類最初のお風呂ってサウナだったらしいですから、人間には「サウナって気持ちいい」が刻み込まれているんですよ。ととのえ親方たちも言っていますが、トイレのウォシュレットと同じで一度体験したらやめられない。そのうち、サウナも一家に一部屋時代が来るかもしれません。