資生堂は20日、漢方大手ツムラ、食品大手カゴメとそれぞれ業務提携を結んだと発表した。ウエルネス領域強化の第一歩としてインナービューティ事業を本格始動。2024年2月に新インナービューティブランド「シセイドウ ビューティー ウエルネス(SHISEIDO BEAUTY WELLNESS)」を立ち上げ、第一弾として2社と共同研究・開発した商品を日本国内で発売する。25年以降、中国をはじめとするアジア地域での展開も予定する。今後、同ブランドを通じて肌・身体・心の調和による美の実現のためのソリューションを提案。新たな健康美習慣を「J-Beauty Wellness」としてグローバルに発信し、新市場の創造を目指す。立ち上げから10年以内をめどに、数百億円規模の事業に育成する。
資生堂は、企業使命とする「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でより良い世界を)」の下、21年に中長期経営戦略「WIN 2023 」と、30年に「Personal Beauty Wellness Company」として生涯を通じて一人一人の健康美を実現する企業となることを目指すビジョンを策定。スキンビューティブランドを強化するとともに、新たな成長領域としてウエルネス分野への取り組みを推進してきた。インナービューティ事業はその中核となる。開発背景には、地球環境や社会課題の変化の中、生活者のインナービューティへの意識の高まりがある。同社の調査によると、20〜60代の女性の74%が肌・身体・心のつながりを感じ、72%がきれいになるために内側から整える必要があると感じているという。また、店頭のパーソナルビューティーパートナー(美容部員)の96%がお客から健康や栄養に関する相談を受けている。こうした変化を受けて、インナービューティ事業を本格始動する。
協業先となるツムラ・カゴメとは、魚谷雅彦前社長CEOの声掛けをきっかけに、「よりよい社会を実現したい」との思いが一致したことから共同研究・商品開発に至った。生薬と心身のつながりに関する知見を持つツムラとは「東洋思想の五臓」から、野菜・果実の健康価値を生かした飲料と食品の研究開発を強みとするカゴメとは「野菜の力」から着想した共同研究、商品・サービス開発を進める。日本市場のターゲット層は内外美容意識層2800万人。サプリメント市場全体が1.3兆円規模に対して美容サプリメント市場は約1000億円にとどまり、健康と美容の両方をかなえる商品とサービスで新領域創造を目指す。新ブランドは資生堂が持つ販路からスタートする。今後、新規市場創出の視点から新たな企業との協業も検討する。
会見に登壇した藤原憲太郎社長COOは、「肌・身体・心の全体を唱えるインナービューティの思想は、1872年に当社が薬局として創業して以来の考え方でありわれわれの遺伝子と言ってもいい。健康的に自分らしく生きることはかつてなく重要な課題になっている。日本を代表する健康創造企業である両社と共に、肌・身体・心の調和がとれた状態に美を見出す日本的な意識をJ-Beauty Wellnessとしてグローバルに提唱する。店頭のタッチポイントを活用して体内データを蓄積し、さまざまなビューティソリューションを提供することでライフタイムバリューを上げていく」と述べた。新ブランドの詳細は、2024年1月に発表する。