スキンケアのルーティンに香りを提案するブランドが増えている。香りへの支持も高い「バウム(BAUM)」「シンピュルテ(SINN PURETE)」「ビュウ(BEAW.)」の3社に売れ筋を聞いた。
スキンケアルーティンの中でルームスプレーの活用を提案する「バウム」
「バウム(BAUM)」は森林浴美容と名付け、スキンケアルーティンの中でルームスプレーを使い呼吸を整えて⾹りを感じることを提案している。
22年に1番売れたアイテムは“アロマティック ルームスプレー”(100mL、各3種、各6160円)の“ウッドランドウインズ”の香りだった。“ウッドランドウインズ”は、爽やかなベルガモットやカモミールなど落ち着いたシダーウッドの⾹りで、「湖畔の林に吹く⾵のような」クリーンさが特徴。同ブランドが展開する3つの香りの中で最も人気が高い香りだ。
スキンケアでは、“ハイドロエッセンス ローション”(150mL、7150円)が人気を集める。樹液のようなとろみのあるローションが、肌の⾓層すみずみまで、潤いを与える。森林浴をイメージした⾹りが特徴。星⽥千晴「バウム」ジャパンPR担当は、「「レフィル対応で、⻑く愛⽤いただける⽊製パーツを使⽤したデザインなども支持されている」。
「バウム」はブランドデビューした2020年6月以降の3年間、毎年2ケタ成⻑を続けている。今年の1〜3⽉実績も、前年同期比2ケタ増と伸長した。星⽥千晴「バウム」ジャパンPR担当は、「実店舗とECの双方でブランドの成⻑を支えている」と話す。店舗では、パッケージの木製パーツに使用するオーク(ナラ)の苗木を育成するなど、5感を刺激するブランド体験を提供し、興味関心を喚起する。
「コロナ禍を経て、自宅で快適に過ごすための工夫が増えた。その一つに⾹りを活用することが増えているように感じる。自分のお気に入りの香りを使うことで部屋の雰囲気や気分が変わり、1日の始まりや終わりに、お気に入りの香りとスキンケアでリラックスするニーズが高まっている。アウトドア活動も拡大しており、自然の中でのリラックスを求める顧客にも、森林浴をイメージした『バウム』 の⾹りを評価いただけていると感じる」と述べる。
「シンピュルテ」“トゥーグッドマルチベネフィットオイル”が爆発的人気に
「シンピュルテ(SINN PURUTE)」は、“マインドフルビューティー”と名付け、“マインドフルフレグランス”で心を解きほぐしてから、クレンジングや保湿といったスキンケアを行うことを提案している。その中で人気No.1はクレンジング“ピュアクレンジングクリアa”(120g、3960円)だ。メイクを落とすだけでなくテクスチャーや、マインドフルフレグランスとして販売する“Purification of Mind”の香りなど五感で楽しめるのが特徴。ブランドリニューアル後の売り上げ伸長率1位は、ヒトデ美容液”AGコンセントレイト セラム a”(30mL、8340円)だ。糸を引く粘り気がありながら肌に浸透する美容液で、“Passionate Awakening”の香りを使用している。また、香りが特徴な“トゥーグッドマルチベネフィットオイル”は、5000店舗以上のサロンで取り扱われ、累計30万本を売り上げるなど存在感を放つ。
今春は、マインドフルフレグランスの3つの香りの“トゥーグッドマルチベネフィットオイル”(50mL、3850円)が爆発的に人気を集めた。もやもや落ち込み気味のときに“Purification of mind”、何かに集中したいときの“Stillness and Energy”、ストレスを感じるときの“Passionate Awakening”をラインアップする。上妻善弘アナイスカンパニー代表取締役は、「香りを楽しみながら心を整えてビューティールーティンを楽しむニーズが売れ行きにも反映されている」。
売り上げは、4〜5月の売上平均でみるとブランドリニューアル前となる2年前の同月比で、15倍以上で推移する。「特に、“トゥーグッドマルチベネフィットオイル”が好調で、公式サイトでは2月の発売から、何度も完売・入荷を繰り返している」と人気だ。
「コロナ禍では、不安やストレスにさらされる中、自分に向き合い心を整えるニーズが高まった。これからは、より外向きな『自分のありかたを表現する』という新たなフェーズに入っていくと考えている。今後は、プロフェッショナル市場に向けたさらなる商品展開も検討し、あらゆる場面でマインドフルビューティーを実現したい。最近では、コンシューマー市場とプロフェッショナル市場の両方で成功しているブランドは皆無といえる。双方を行き来しながら体験とバリューを高め、競合ひしめくサロン業界でも『シンピュルテ』らしくプレイフルに、新しい時代のムードを作り上げていきたい」と意気込む。
和漢素材由来のデュアルスキンケア「ビュウ」は
「大和言葉」にインスピレーションを得た5つの香りを展開
竹内太郎ナチュラルテックCEOが2021年に立ち上げた「ビュウ(BEAW.)」は、当初セラムとサプリのセット“スターターボックス”(初回1万1529円、2回目以降は1万4778円)のみを販売してきたが、今年の6月に“フェイスウォッシュ”(80g、通常価格6600円、定期初回特別価格2970円)と“キャンドル”(180g、1万1000円)の一般販売を開始した。
片岡大和 ナチュラルテック取締役COO「ビュウ」事業責任者は、「5月に、ウェスティンホテル東京で先行販売を行い好評を博した。私が大学で国文学を専攻していたので、5つの香りは、大和言葉の情景をイメージソースに開発した。人気の“あらたよ(105)”は、明けるのが惜しい夜という意味で、紅茶にベリーなどをブレンドした香りだ。“なみだあめ(150)”は、はらはらと落ちる涙のような、ほんの少しだけ降る雨という意味で、雨上がりの森や庭園を想起させるジャパニーズグリーン&アースの香り。1人の時間や、信頼できる仲間同士でゆったりと過ごす時におすすめだ」と話す。5月の売り上げは前年同月比10倍と好調だった。「コロナ禍を経て、出社や外出の機会が増えた。外出時に気を遣う一方で、家の中ではリラックスを求める意識が高まり、自然を感じる香りが人気だ」。