資生堂は26日、2012年度決算報告と13年度の経営方針を発表した。12年度3月期連結決算は、対前年比99.3%の 6777億2700万円(国内売り上げは同比98.2%の3732億5200万円、海外売り上げは同比100.7%の3044億7500万円)。営業利益は、同比66.6%の260億450万円、経常利益は同比72%の284億600万円となっている。国内事業に関しては、中・低価格帯ブランドの売り上げ不振、10年3月に買収したベアエッセンシャルの事業拡大に苦戦していることなどを挙げている。海外事業に関しては、プレステージブランドは好調だったが、ベアエッセンシャルの北米ダイレクト事業の売り上げ、リテール事業が低迷。ベアエッセンシャルにかかわる286億円と、生産・研究開発拠点の再編に伴う構造改革費用57億円など、計363億円を特別損失として計上した。
4月1日付で就任した前田新造・会長兼社長は、冒頭に社長交代の経緯について「3月に末川久幸・前社長から体調不良による社長辞任と併せて取締役の申し入れがあったが、経営面での責任は会長職である私にもあること。当初は社長復帰に関しては固辞していたが、次期社長を選任するまでの間、社長職を兼任することで経営の責任を果たすべきと感じている」と語った。12年度の成績を振り返り、「(たび重なる業績下方修正についても)昨年は苦戦を強いられる年となった。お客さまの支持を高め、競争に打ち勝つためには、『資生堂ならではの強み』を極めていくことが大事だと考えている。成長軌道をもう一度整え、『日本をオリジンとし、アジアを代表するグローバルプレーヤー』になるべく、短期間で道筋を作っていくことが私の使命」と述べた。13年は「徹底した選択と集中」と題し、「強い領域をより強化すること」「大きな領域をより大きくすること」「収益性の高い領域で利益を生み出すこと」を掲げ、日本、中国、アメリカのベアエッセンシャルの3つの領域に集中して投資を行ない、成長市場へと引き上げていく方針だ。
日本では、プレステージブランド領域を徹底的に強化。特に、グローバルブランド「SHISEIDO」、クレ・ド・ポー ボーテ、べネフィークの3ブランドに絞り、徹底的なブランド強化と得意分野であるBC活動の向上、お客さまとの絆を強化することに注力していく。さらに、「政治・社会的リスクを抱える市場」と述べた中国市場に関しては、投資するブランドの選定や集中育成するエリアを絞り、今年度中に営業利益率を2ケタにまで回帰させ、16年度までに強化エリアを拡大し、収益額を増やしていく考えだ。ベアエッセンシャルに関しては、新店舗拡大はせず、既存店舗の強化を優先してテレビCMで高めたブランド認知を購買につなげられるようにサンプリングや店頭プロモーションに投資し、顧客対話型にシフトを進めていく。
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その他、構造改革に掲げる案件として、店頭在庫の改善や不採算・低収益事業の改善も図る。最後に、前田会長兼社長は「13年度の売上高を7100億円にまで上げていきたい。そのためには成長の行く手を阻む経営課題を一掃し、社員一丸となり積極的な構造改革をまい進していく」と述べた。
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