生成系AIの登場により、普段使っている言葉で指示を与えるだけで、一瞬で何千枚もの画像が生み出せるようになった。広告からエディトリアルまで、ブランドはスピードとサステナビリティ、そして創造性を求めて生成系AIの活用に挑戦している。(この記事は「WWDJAPAN」2023年9月25日号からの抜粋です)
生成系AIの無限の可能性を感じさせたのは、SNSで拡散されたダウンコートを着用したローマ法王の画像だった。今年初め、人々は「チャットGPT」に自分の名前を入れて、どんな人物なのかを尋ねたり、AIアバター化アプリ「Lensa(レンザ)」で作った画像をインスタグラムのプロフィールにアップロードしたりして盛り上がっていた。しかし、3月に白いダウンコートを着たローマ教皇フランシスコ1世のミーム的な画像が投稿されると、多くはそれが本物だと信じた。そして、それはファッションにおける生成系AIの可能性を示唆する事象になった。
今や生成系AIを使った作品は、広告からエディトリアルまでファッション業界全体で採用されている。制作時間を短縮し、イメージを無限に作り出す。
「モンクレール(MONCLER)」「パンゲア×ロバート・レーベンシュタイナー」「リボルブ(REVOLVE)」の広告を手掛けるAIジェネレーティブ・エージェンシー、メゾン・メタ(MAISON META)のニマ・アバシ=パートナーは「ブランドに提供できる価値は明快だ」と語る。
「私たちは、より素早く、より幅広く、人間のチームからはおそらく得られないようなアイデアを提供する。まるでドーピングしたクリエイティビティーだ」。 ブランドは、さまざまなメディアやソーシャル・チャンネルを横断するようなコンテンツを制作し、常に人々の目を引きつけなければならないというプレッシャーにさらされている。「既存のインフラやリソースでの対応に苦労しているが、生成系AIの活用で、あらゆるチャネルで顧客ニーズに応えることができる」。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。