毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2023年9月25日号からの抜粋です)
美濃島:1年前(2022年9月26日号)はゴルフブランドが200くらい増えたというタイミングで市場の盛り上がりを特集し、4月10日号では多様なウエアのスタイルをまとめました。コロナ禍で20〜30代にゴルフを始める人が増えたのがポイントだったので、今回は彼らが実際にどう楽しんでいるのかを紹介しようと考えました。
臼井:ゴルフはマナーが厳しくて細かく、服はポロシャツをボトムにインした個性のないイメージでしたが、カジュアルでファッションが楽しめるウエアが出てきて、意外とゴルフってスタイリッシュだよねと、20〜30代がゴルフを楽しむ流れになりました。実は、そういった新しいスタイルは40〜50代にも支持されていて、歓迎ムードなんですよね。休眠ゴルファーだったけれど再開した人も多いそうですし、プレー自体を楽しむ人が増えました。
美濃島:これまでクラシカルで社交の場だったゴルフ場がドレスコードを緩めたり、ハーフプレーをOKにしたりして、新しい層を取り込みましたよね。
臼井:「ミッド・ナインティーズ・クラブ(MID 90s CLUB)」の代表が元レーサーだったり、人気上昇中の海外ブランド「ボギー・ボーイズ(BOGEY BOYS)」はグラミー賞も取った有名ラッパーのマックルモアー(Macklemore)が立ち上げたりと、新進の人気ブランドはアパレル出身でもゴルフ業界でもない人が作ったものが多くて、発想が自由です。「着たいものを作った」という作り手の熱意やその人が持つカルチャーが共感を集めるので、軸が明確だし、コミュニティーが形成されやすいです。だから、ターゲットに合わせて音楽イベントを開催するなど、ゴルフの枠にとどまらない企画が実施されていて、広がりがあります。
美濃島:もう1年前ほどの勢いはありませんが、新しい動きが生まれたのは事実。1日15分走るだけで気持ちいいからやろうというランナーが増えたのと同様に、ゴルフもプレーヤーの裾野が広がることが市場としてはポジティブなこと。そこに老舗がうまく加わると、ブームではなく、文化として成熟しそうです。20代の男女4人に実際にどんなふうにプレーを楽しんでいるのかを聞きましたが、インスタ映えを意識してウエアを購入したり、着回したりしていて、リアルな消費動向も垣間見え、ゴルフをしない人たちにとってもビジネスのヒントになる特集になったと思います。