「WWDJAPAN」のソーシャルエディターは毎日、X(Twitter)やFacebook、Instagram、TikTok、そしてThreadsをパトロールして、バズった投稿や炎上、注目のトレンドをキャッチしている。この連載では、ソーシャルエディターが気になるSNSトレンドを投げかけ、業界をパトロールする記者とディスカッション。業界を動かす“かもしれない”SNSトレンドの影響力や、投稿がバズったり炎上してしまったりに至った背景を探る。今、SNSでは何が起こっているのか?そして、どう向き合うべきなのか?日々のコミュニケーションのヒントにしたい。今回は、ニューヨークコレクションを担当したソーシャルエディターの「セフォラ」探訪記。
ソーシャルエディター浅野:先日、ニューヨーク・ファッション・ウイークを取材してきました。多くのショーや展示会などを周りましたが、今回は隙間時間で仕入れたビューティ情報のお話です。
真っ先に向かったのは、もちろんコスメショップ「セフォラ(SEPHORA)」です。ざっと見た感想は、数年前から変わらずクリーンビューティが主流なこと。トレンドというより、当たり前といった風潮です。加えて気になったのは、全てのブランドのディスプレイのメインがベースメイクなんです。日本ではアイシャドウやリップなど、いわゆる色物がメーンですよね。しかしアメリカではベースメイクが1番スペースをとっており、目立っています。次はリップやチークで、アイシャドウは端っこに少しだけというブランドも。現地の人に聞いてみると、アメリカにはフルメイクは特別な時だけで、普段は軽くベースメイクくらいの人が多いそう。そんな使用頻度の違いが原因かもしれませんね。
店頭を見ているだけでメイクのトレンドや文化の違いが見え、滞在中は何度も「セフォラ」に足を運びました(笑)。さらにコスメブランドのインスタグラムを見ていると、こちらも日本とはかなり違います。日本の公式アカウントはキービジュアルや新作中心の投稿で、サイトの情報をSNSにスライドした印象です。
しかし、リアーナ(Rihanna)が手がける「フェンティ ビューティ(FENTY BEAUTY BY RIHANNA)」や、クリーンビューティで人気の「イリア(ILIA)」のアカウントを見ていると、新作も既存品も関係ありません。さまざまな人種や肌質のインフルエンサーがリアルにメイクする動画が数多く、一般のインフルエンサーや消費者のレビューをオフィシャルアカウントに集約しています。口コミなどを別で調べなくとも、オフィシャルアカウントがかなり参考になるんです。人種の多様さなどの理由もあると思いますが、インフルエンサーなど消費者により近いユーザーを巻き込んだ情報発信で、共感できたり自分ごと化しやすかったりの雰囲気作りは、日本にはないアメリカンブランドならではの強さだと思いました。日本は、消費者さえブランドイメージを重視する傾向があるので、アメリカ流が日本にマッチするかと聞かれたら違う気もします。だからこそ口コミサイトが充実しているのでしょう。
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