ジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)は今、波動に関心を寄せているようだ。2024年春夏ミラノ・コレクションの「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」は、床に触れるイーグルロゴのボールから広がる波紋をライトで表現してから幕開け。一方の「ジョルジオ アルマーニ」では、まさにその波が生み出す微細な光の変化や、時にまばゆい輝きを最高級の素材で表現した。
微細な光の変化を表現する素材は、タック入りのリラックスパンツに多用したシルクタフタだ。明らかに上質かつ肉厚の生地を寄せて作ったテーパードパンツにはセンタープリーツ。素材自体も光を鈍く反射するほか、プリーツやタックの凹凸がさらに光を拡散し、オーロラのような輝きを放つ。対するトップスは、得意とするコンパクト丈でアンコンのジャケットや、胸元を大きく抉ったりパスタストラップを採用したりホルターネックに仕上げたりのドレス。この素材を波打つように細長くカットして横につなげた手仕事満載のコートづくりにも挑んだ。
パンツには、まばゆいゴールドのシルクで作ったベルトをカマーバンドのようにあしらい、腕には大ぶりのクリスタルバングル、手には薄いオーガンジーをかぶせたクラッチバッグ、足元にもシルクタフタを採用したボクシングシューズ風のフラットな靴を合わせ、トータルスタイルはプリズムのようにさまざまな光を放ち、反射する。ブロンズやシルバー、そして高貴なグリーンやパープルをキーカラーにしつつ、まばゆいスタイルはまさにプリズムのように七色に光り輝いた。
優しい色の移り変わりと、穏やかなBGM、そして笑顔をたたえながら優美に歩くモデルの姿は、闇夜が明けて朝を迎える海辺のようだ。静寂のホワイトで締めくくったコレクションは、ミラノ・コレクションのフィナーレに相応しいピースフルな雰囲気に包まれた。