「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」「ヴェルサーチェ(VERSACE)」「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」の親会社カプリ・ホールディングス(CAPRI HOLDINGS以下、カプリ)は8月、「コーチ(COACH)」「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」「スチュアート・ワイツマン(STUART WEITZMAN)」などを擁するタペストリー(TAPESTRY)による買収に合意しているが、これに伴ってカプリのジョン・アイドル(John Idol)会長兼最高経営責任者(CEO)が退任して同社を離れた場合、現金と株式報酬の合計でおよそ3940万ドル(約58億円)が支払われることが明らかとなった。
この金額はカプリが米国証券取引委員会(Securities and Exchange Commission)に提出した文書に基づいており、内訳は現金が1510万ドル(約22億円)、株式報酬が2430万ドル(約35億円)相当となっている。これはアイドル会長兼CEOが現在の報酬条件で退職した場合の試算だという。なお、同氏の2022年の報酬は、基本報酬が135万ドル(約1億9980万円)、業績に連動した成果報酬が430万ドル(約6億3640万円)、株式報酬が850万ドル(約12億円)相当の合計1420万ドル(約21億円)だった。
タペストリーは、カプリを約85億ドル(約1兆2580億円)で買収。取引が完了した暁には、年商120億ドル(約1兆7760億円)の巨大企業が誕生する。両社は統合がスムーズに進むよう共同で統合マネジメントオフィスを設立し、従業員と顧客体験を守る、ブランド運営に支障をきたさないようにする、優先順位を明確にして重要度が高いものから着手する、優れたアイデアは発案者によらず採用する、バリュー創出を第一に考えるという5つの基本方針を掲げ、統合に伴う社員の不安の払拭に努めているという。
一方、タペストリーに対する市場の不安は払拭されていないようだ。8月9日に40.80ドル(約6038円)だった同社の株価は、買収を発表した10日には34.30ドル(約5076円)と15.9%下落。9月25日の終値では、28.50ドル(約4218円)とさらに下落している。なお、買収されたカプリの株価は、8月9日には34.61ドル(約5122円)だったが、10日には53.90ドル(約7977円)と急騰。9月25日の時点でも52.36ドル(約7749円)と高値を保っている。