インディテックスグループの「ザラ(ZARA)」が、プレイプロダクトスタジオが手掛ける日本のウィメンズ、メンズブランド「メゾンスペシャル(MAISON SPECIAL)」とのコラボレーション商品を本日9月28日に発売した。国内は、「ザラ」25店舗と公式ECで扱い、中国本土(5店)、台湾(1店)、香港(1店)、韓国(4店)でも販売。「国内の出店は一巡した。訪日客からも支持されており、次は中韓など海外での販売を模索したい」(菅井隆行プレイプロダクトスタジオ社長)と話していた「メゾンスペシャル」にとって、今回のコラボはアジアで認知を得る大きなチャンスだ。「ザラ」銀座店1階は10月8日まで、コラボの世界観を表現するポップアップスペースとなっている。
両者の取り組みがスタートしたのは、2022年の6月。今秋、日本上陸25周年を迎える「ザラ」は、取り組み相手として日本のブランドを探していた。「われわれと同じ哲学や方向性を持ちながら、自国の文化や伝統から新しいものを創造している日本ブランド」(「ザラ」のコメントから)を探す中で、「ザラ」スタッフにも愛用者が多いという「メゾンスペシャル」に白羽の矢が立ち、「ザラ」からアプローチしたのだという。
コラボ商品を企画するにあたり、「メゾンスペシャル」から「ザラ」に対し、ムードボードやデザイン、スタイリングを提案。「その後、インディテックスの本国のスタッフとリモートで協議を行い、デザイン修正を重ね、ファーストサンプルを仕上げていった」(「メゾンスペシャル」のコメントから)。ファーストサンプルが完成したタイミングの今年7月には、菅井社長や渡邊倫子クリエイティブディレクター・チーフデザイナーらがスペインのラ・コルーニャにあるインディテックス本社も訪れ、実物を確認しながら企画を詰めていった。
苦労したポイントは「色展開」
協業にあたり、「両ブランドの世界観や、ブランド独自の色を調和させることが難しかった」と「メゾンスペシャル」チームは振り返る。同ブランドの通常商品は、ビビットカラーを中心に「5〜6色展開をセオリーとしている」が、今回のコラボでは、より幅広い客層を対象とする「ザラ」からのアドバイスを受けて、「従来の色展開を強みとしたデザインとは違う形で、われわれらしさを表現することに時間をかけて取り組んだ」という。コラボ商品には、銀座のポップアップスペースのインスピレーション源となっているネオンイエローのセーターなども含まれるが、そうしたビビットカラーはあくまで差し色。グレーや黒、カーキ、ベージュなどがベースとなっているのがポイントだ。
H&Mや「ユニクロ」のファーストリテイリングも上回る、アパレル小売業世界ナンバーワンのインディテックスとタッグ組むことで、「『メゾンスペシャル』として認知拡大が狙えることはもちろんだが、声をかけられたことで、自分たちのブランディングに改めて自信を持った。また、国内だけでなく海外展開を視野に入れるきっかけにもなった」と「メゾンスペシャル」。
「ザラ」としては、「史上初の日本ブランドとのコラボによって、自分たちの新しいビジョンを切り開くことができた。また、お客さまにもこれまでとは違う『ザラ』を楽しんでいただく機会になる」と期待している。「ザラ」のこれまでのコラボ相手というと、韓国の「アーダーエラー(ARDER ERROR)」や英「スタジオニコルソン(STUDIO NICHOLSON)」など、ファッション好きに認知されている実力派ブランドが中心。より分かりやすいビッグブランドと毎年組んでいるH&Mとは、対照的なブランド選定だ。「われわれの理念とつながりを感じられる相手とのコラボレーションを重視している。両ブランドの専門性が交わることにより、スタイリッシュで高品質なデザインを提供することができ、喜んでいただけるはず」と「ザラ」はコメントしている。