2010年、日本フレグランス協会が10月1日を"香水の日"に制定してから今年で5回目。香水の日に合わせたフレグランスウィークでは、各地の百貨店などで関連のイベントが開かれている。そんな中、阪急うめだ本店と新宿高島屋では、2014年のフレグランス アンバサダーに選ばれた宝塚歌劇団出身の女優、花總まりが、香水の奥深い世界を伝えるトークショーを開催。宝塚歌劇団100年の歴史の中で娘役トップを最長の12年務め、「ベルサイユのばら」でマリー・アントワネットを演じたことから"現代のマリー・アントワネット"と称される彼女に、香水の魅力を聞いた。
—2014年のフレグランスアンバサダーに選ばれた感想を教えてください
花總まり(以下、花總):選んでいただいたことはとても光栄で、同時に責任の大きさに身の引き締まる思いです。これまで、香水はたくさん種類があり過ぎて、どれを選べばいいのか迷うことが多く、手を出しにくいイメージもありました。しかし、フレグランス アンバサダーに就任したことで香水がとても身近な存在になり、実際に百貨店の香水カウンターに出掛けて、自分にはどんな香りが合うのか見ていただいたりもしたんですよ。私のファンの方たちもこれをきっかけに香水を購入してくださったり、ブログにも「香水に興味が湧きました」というコメントが増えたりして嬉しく感じています。
—宝塚歌劇団時代、香水にまつわる思い出などはありますか
花總:舞台では衣裳に香りがついてしまうので、あまり積極的に香りをつける習慣がないのですが、新人公演で舞台にあがるときは先輩から衣装を借りるので、先輩の残り香が衣装からふんわり漂うこともありましたね。憧れの先輩の香りをまねする人や、特に男役の方は舞台に上がる前に気合を入れるためか、お気に入りの香水を舞台袖でつける方もいました。
—どんな時に香水をつけますか。つけるときのこだわりはありますか
花總:どこかにお出かけするときや、気分をあげたいときに香水はつけますが、香水だけでなくボディローションやキャンドル、アロマなども好きでよく使います。特に楽屋では、空気を浄化してくれるものや喉を癒やすもの、元気が出るものなど、その時々の体調や用途などによって、アロマオイルを使い分けて焚いていました。香水をつけるときは、空気中にスプレーして、その霧の中をくぐって香りのベールに包まれるようなイメージでつけます。フレグランス アンバサダーになって、「香水は肌に直接つける方が温まってまろやかに香る」ということを知りました。香水は嗜好品ですから、つけ過ぎなどで周りの迷惑になっている場合もありますよね。そんな"香害"でせっかくの香りの魅力を損なわないように、正しいつけ方の知識なども発信していければと思います。
—愛用されている香りや今後挑戦してみたい香りはありますか
花總:フレグランスウィークでご紹介している、メゾン フランシス クルジャンの「ア ラ ローズ オードパルファム」は、マリー・アントワネットの肖像画から受けるインスピレーションそのものの香りでとても気に入っています。マリー・アントワネットがこよなく愛したバラの花は、時代を問わず美のシンボルであり、フレグランスの原点と言われるのを納得できますね。こういったフローラル系も好きですし、シトラス系や石けんの香りなども気分によって使い分けます。11月8日からは、私がモーツァルトの姉のナンネール役を務める舞台「モーツァルト!」が始まり、連日お稽古に励んでいます。舞台に立つ時は役に入り込み、楽屋でふっと肩の力を抜いた時につけたい軽やかさもある「グッチ バイ グッチ プルミエール オードトワレ」などをさりげなく使えるようになれるといいですね。香水で上手に気分をリフレッシュさせて、初日を迎えられたらと思います。