「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」はこのほど、パリ・シャンゼリゼ通りにある建物の改装工事を開始した。同ブランドによれば、これは「新たなプロジェクト」のためで、以前は大手金融機関HSBCが使用していたアールヌーボー様式の建物は現在、同ブランドのトランクを模した巨大な囲いに覆われているようだ。なお、10月2日に発表する「ルイ・ヴィトン」2024年春夏コレクションのショーも、この建物内で行うという。
「ルイ・ヴィトン」はこの新プロジェクトの詳細を明らかにしていないが、パリ市の管轄当局に登録されている建築許可証によれば、用途は小売やホテル施設となっており、中庭や地階などを含めて改装するようだ。
フランスの不動産専門ニュースサイトCFNEWS IMMOによれば、2020年1月ごろ、「ルイ・ヴィトン」を擁するLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)が同建物のリース契約を締結。当初は、同じくLVMHが擁する「ディオール(DIOR)」の本社が移転する予定だったため、21年9月から同ブランドのロゴや、オートクチュールのドレスを仕立てる際の試作用の白いドレス“トワル”をモチーフとした囲いに覆われていた。なお、同ブランドの本社は近隣の別の建物に移転するとみられている。
「ディオール」は、パリ・モンテーニュ通り30番地に立つ本店を2年以上かけて大改装し、22年3月にリニューアルオープンした。ブティックだけでなく、オートクチュールとジュエリーのアトリエや、広大なギャラリー、レストラン、カフェ、庭園、VIP顧客向けのスイートルームなどを備え、メゾンの世界観を多面的に表現した複合施設となっている。なお、当時同ブランドを率いていたピエトロ・ベッカーリ(Pietro Beccari)前クリスチャン ディオール クチュール(CHRISTIAN DIOR COUTURE)会長兼最高経営責任者(CEO)は、23年1月にルイ・ヴィトンの会長兼CEOに就任している。
一方、「ルイ・ヴィトン」は22年12月、パリ2区にある本社ビルの一部に展示スペース「LVドリーム(LV DREAM)」をオープンした。23年11月までの期間限定である同展は、ギフトショップのほか、カフェやチョコレートショップなども併設。当時、同ブランドのトップだったマイケル・バーク(Michael Burke)前会長兼CEO(23年1月にベルナール・アルノーLVMH会長兼CEOの顧問に就任)は、将来的に本社ビルをブランド初のホテルと世界最大の店舗を含む複合施設へと変える計画があることを明らかにしている。