「WWDJAPAN」には美容ジャーナリストの齋藤薫さんによる連載「ビューティ業界へのオピニオン」がある。長年ビューティ業界に携わり化粧品メーカーからも絶大な信頼を得る美容ジャーナリストの齋藤さんがビューティ業界をさらに盛り立てるべく、さまざまな視点からの思いや提案が込められた内容は必見だ。(この記事は「WWDJAPAN」2023年9月25日号からの抜粋です)
齋藤薫/美容ジャーナリスト
齋藤薫(さいとう・かおる):女性誌編集者を経て独立。女性誌を中心に多数のエッセー連載を持つほか、美容記事の企画や化粧品の開発、アドバイザーなど広く活躍する
新しいものほど良い、新しいものほど効く……言うまでもなくこれが、コスメ界での評価を決める長年の不文律だった。だから新商品しか売れない、新商品ばかりをもてはやすという、どうにもならないバイアスがかかる。もちろんサイエンスやテクノロジーが軸になるスキンケアでは、研究を積み重ねるほど良いものが生まれるのは物の道理。進化こそが化粧品の生命線、それは疑いようがない。 ただその偏った文化が、うっかりすると新商品が数カ月、それどころか数週間で売れなくなる異常な事態を生んでいたりもする。だから美容メディアはその反省もあって、名品やロングセラーを丁寧に取り上げるという動きを見せてきた。最近はむしろそれが顕著になってきたと言っていい。
しかしそうした流れとはまったく別に、既存の商品や定番成分にこそ、化粧品効果の本質あり、という見方が年々広がってきている。つまり気がついたら本当に、新商品や新成分よりも、10年前、20年前からある商品や、誰もが知っている定番成分の方が、はるかにありがたい、評価されるべきだったりすることが現実に少なくないということなのだ。
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