伊勢丹新宿本店の快進撃が続いている。コロナの影響がまだ残る2022年度(23年3月期)の売上高が3276億円となり、31年ぶりに過去最高を更新した。大都市でも地方都市でも百貨店の閉店が相次ぐ中、どこ吹く風だ。なぜ、そんなに強いのか。秘密は「マスから個へ」のビジネスモデルの大転換にある。(この記事は「WWDJAPAN」2023年10月2日号からの抜粋です)
百貨店の常識を覆す「細谷改革」
今年2月24日は伊勢丹新宿本店の変化を象徴する日となった。外商顧客向けイベント「丹青会」の1日の売上高が過去最高を記録したのだ。これまでの最高は2008年1月2日の初売りだった。福袋とクリアランスセールを目当てに約22万人が来店し、売上高は28億円。一方、丹青会は限られた招待客しか来ないのに、売上高で上回った。
伊勢丹はこの日のために、取引先のブランドに掛け合って特別な商品を集めた。外商員は普段から対面やデジタルを通じて外商顧客とコミュニケーションを深め、潜在的なニーズを探る。その情報を受けて、バイヤーチームは伊勢丹での扱いがないものも含めて希少な商品を提案する。そうすることで心に響く買い物体験にいざなう。
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