「WWDJAPAN」のソーシャルエディターは毎日、X(旧Twitter)やFacebook、Instagram、TikTok、そしてThreadsをパトロールして、バズった投稿や炎上、注目のトレンドをキャッチしている。この連載では、ソーシャルエディターが気になるSNSトレンドを投げかけ、業界をパトロールする記者とディスカッション。業界を動かす“かもしれない”SNSトレンドの影響力や、投稿がバズったり炎上してしまったりに至った背景を探る。今、SNSでは何が起こっているのか?そして、どう向き合うべきなのか?日々のコミュニケーションのヒントにしたい。今回は、「ヨンドシー(4°C)」によるポップアップイベント“匿名宝飾店“のお話。
ソーシャルエディター津田:先日まで表参道のバンクギャラリーで開催されていた体験型ジュエリーショップのポップアップイベント“匿名宝飾店”。あえてブランドネームを伏せ、看板やショッパーなどもすべて匿名のポップアップは「ブランド名ではなく、物を見て、自分の指や肌のうえでジュエリーを好きになってほしい」という思いから生まれた企画です。匿名という珍しい形態のポップアップのため、SNSではどのブランドだろうという憶測が飛び交いました。そして会期中の記者会見で、仕掛けたブランドは「ヨンドシー」と判明。その意外性と、「ヨンドシー」は以前からSNSで度々話題になるブランドだったこともあり更に話題に。公表前に「ヨンドシー」を当てる猛者もいました。
「ヨンドシー」は広く認知されているからこそ、SNS上で典型的なプレゼントの例としてネタにされています。そんな投稿の結果つきまとってしまったバイアスを取り除こうという思いは、プロダクトに自信がある証。商品そのものを見てもらう良い施策だったのではないでしょうか?そしてこの試み、他の商材への汎用性もあると思うんです。香水でも、同じプロモーションをしたら面白いと思いませんか?
記者村上:メジャーなブランドだからこそ、ことホリデーシーズンのSNSでは度々「『ヨンドシー』の同じジュエリーを複数の男性からプレゼントしてもらい、1つだけ残して、残りは二次流通した」なんて話がプチバズってきましたよね。ホントかどうかわかりませんが、そんなバズがいつの間にかブランド価値を毀損していたのでしょう。「ヨンドシー」というブランド名は一切語らず、「変な色眼鏡をかけることなく、商品を見てください」というメッセージを発信した勇気あるキャンペーンで、Xでも比較的ポジティブなリアクションが多かったように思います。
同じような試みは、ファッションの世界でも時々あるんです。真っ先に思い出したのは、伊勢丹新宿本店の「考える服」イベント。ブランドタグがない、もしくは見えづらい洋服を販売しました。これも「色眼鏡をかけることなく、商品を見てください」という意気込みの表れですよね。購買には「このブランドの商品を買った!」という満足感も重要ですが、どちらもユニークな試みだと思います。
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