全国でサウナブームが止まらない。そのブームのきっかけは、サウナをテーマとしたドラマ「サ道」にあるだろう。2019年に放映された「サ道」では、登場人物の「ととのったー!」というセリフと同時に、世界がきらきらと輝くような演出が印象的で、そのシーンから“サウナでととのう”というフレーズがじわじわと普及。それが時を経て、空前のサウナブームへとつながっていく。
そして今年、全国各地で宿泊施設や商業施設をともなった大規模なサウナがオープンしているが、沖縄にもそのサウナブームは飛び火。ユニークなサウナ施設が続々と誕生している。
森を開拓して作った、野趣あふれる「亜熱帯サウナ」
最近話題を呼んでいるのが、亜熱帯気候である沖縄の雄大な自然を生かしたサウナ、その名も「亜熱帯サウナ」だ。
こちらは那覇から高速道路を使って約90分、本島北部に22年12月にグランドオープンしたサウナで、エリア面積は約2000坪と広大。まるでジャンブルにいるかのような気分に浸れるのが特長だ。
施設は森の中にある。亜熱帯特有の7~8mはあろうかというヘゴの木が生い茂る中に、約15人が入れるロウリュ式サウナを含めたサウナ施設が2棟と水風呂を配置。その周辺には“東屋”のように外気浴スペースが点在しており、さらに山道を少し下った先には、水風呂代わりに使える渓流が。まさに、沖縄の大自然と一体になるような、特別な体感ができる施設だ。
「亜熱帯サウナ」を主宰する、神奈川県出身の坂本哲治さんは、このサウナを作る前に、近くでカフェレストランの「亜熱帯茶屋」をオープンさせている。
「サウナをオープンさせたきっかけは、25年以上前に、タイのコサムイ島で体験した、ジャンブルの中にある自然派スパでした。そのスパリゾートに感銘を受けて、似たような気候の沖縄でスパを作りたいと。ただ、まずはそれまでに培ってきた飲食経営のノウハウを生かし『亜熱帯カフェ』をオープンさせて、それが軌道にのったところで、満を持して、22年12月に『亜熱帯サウナ』をオープンさせました」。
ただ、沖縄は入浴というとシャワー浴が一般的で、浴槽浴はもちろん、サウナに入る機会が少ないことで知られている。しかし、「蓋を開けたら、オープン当初は沖縄県民が9割ほど(笑)。当初は珍しさから来られていたのかもしれませんが、現在も地元のゲストが6割を占めていて、沖縄の人にも“ととのう体験”を楽しんでいただいています」と話す。
今後は2000坪の敷地を使って、スパトリートメント施設や飲食店もオープン予定という。沖縄県内最大級の“複合型サウナ施設”の完成にむけて、着実に歩みを進めている。
■亜熱帯サウナ
住所:沖縄県国頭郡本部町伊豆味2599
TEL:050-8885-0691
電話受付時間: 9:00~18:00 ※完全予約制・約2時間制
営業時間などの詳細はInstagramの公式アカウントを参照 @anettai_sauna
サウナシュラン2019に選出された、沖縄サウナの雄「琉球温泉 龍神の湯」
一方、沖縄を代表するサウナといえば、那覇空港からほど近い、瀬長島に位置する「琉球温泉 龍神の湯」だ。こちらは“サウナ業界のミシュラン”といわれる、サウナシュラン2019において、全国のサウナTOP11に選出されたこともある人気施設。
施設内には県内初として設置された約20人が入れるロウリュ式サウナがあるほか、日によって塩の種類が変わる塩サウナの2種を常設。また、水風呂は屋外にあり、ベンチ4席、イス4席の“ととのい椅子”を配置。
サウナから水風呂に入り、その後、イスに座り、海を眺めながら外気浴を堪能するという、沖縄ならではの“ととのい体験”ができるのは、まさに唯一無二の魅力。
加えて、沖縄では珍しく、瀬長島の地下1000mから湧き出る天然温泉も併設。1.2mの立ち湯と壺湯がある露天スペースからは那覇空港の第二滑走路が見え、さまざまな航空機がジェット音とともに着陸するダイナミックな光景を楽しむことができる。
このサウナと開放感ある天然温泉の組み合わせも格別で、ここでリフレッシュするためだけに、沖縄に日帰りで来るというゲストもいるという。
ちなみに、こちらは“日本のアマルフィ”として人気を集める観光スポット「瀬長島ウミカジテラス」に隣接しているため、サウナを楽しんだ後には、ワンストップで沖縄のリゾート感を堪能できるのも嬉しい。
■琉球温泉 龍神の湯
住所:沖縄県豊見城市瀬長174-5
TEL:0120-996-941
営業時間:6~24時(最終受付23時)
詳細はInstagramの公式アカウントを参照 ryujinnoyu
今回は、日本とは思えない、大自然でサウナを体験できる「亜熱帯サウナ」と、サウナから観光まで沖縄のアクティビティをぎゅっと凝縮させた「琉球温泉 龍神の湯」を紹介したが、沖縄に誕生しているサウナには、このような明確なコンセプトをもつ施設が多い。
たとえば、キャンプ場でオプションとして利用できる“テントサウナ”や、ビーチ沿いにある“島サウナ”などが誕生している。この多様性に富んだ“ととのう体験”ができるのも、離島ならではの魅力といえるだろう。今後、どんな目新しい施設がオープンするのか。“沖縄の島サウナ”から目が離せない。