「プラダ(PRADA)」は10月4日、世界初の商用宇宙ステーション開発に取り組む米アクシオム・スペース(AXIOM SPACE)と提携し、米航空宇宙局(NASA)が中心となって進めている有人での月面探査プロジェクト、アルテミス計画(Artemis Program)に用いる宇宙服を手掛けることを発表した。
アルテミス計画はいくつかのミッションで構成されており、それぞれのミッションのために宇宙船が開発されている。「プラダ」は、2025年の打ち上げを予定する「アルテミス3号」の乗組員のための宇宙服であるアクシオム船外活動ユニット(AxEMU)を、アクシオム・スペースと共に製作する。デザイン面ばかりでなく、「プラダ」のエンジニアを含めたチームにより、宇宙や月面環境がもたらす特有の問題から人体を守るための素材や機能も開発するという。なお、「アルテミス3号」は、1972年12月のアポロ17号以来となる有人月面着陸の実現のほか、初の女性による月面着陸も目指している。
プラダ グループ(PRADA GROUP)のロレンツォ・ベルテッリ(Lorenzo Bertelli)=マーケティング・ディレクター兼CSR部門ヘッドは、「アクシオム・スペースと共に、この歴史的なミッションに参加できることを光栄に思う。当社は常に先進的な精神で物事に取り組んでおり、今回はそれが宇宙という新たな地平への冒険心や挑戦心へと広がった。90年代に(世界的なヨットレースの)アメリカズ・カップに挑んだルナ・ロッサ プロジェクト(LUNA ROSSA PROJECT、現在のチーム名はルナ・ロッサ プラダ ピレリ)に始まり、数十年にわたって実験を続けてきた最先端のテクノロジーや機能的なデザインにおけるノウハウを、今度は宇宙服のデザインに応用する。これは、文明を発展させる人間の創造性とイノベーションを真に称える試みだといえるだろう」と語った。
アクシオム・スペースのマイケル・サフレディーニ(Michael Suffredini)最高経営責任者は、「『プラダ』と共にアクシオム船外活動ユニットの開発に取り組むことができ、とてもうれしく思う。原材料、製造技術、革新的なデザインコンセプトに関する同ブランドのテクニカルな専門知識は、月面に降り立つ宇宙飛行士の快適性だけでなく、人的要因への配慮という従来の宇宙服にはなかった視点を意識した宇宙服の製作に必須である先進的な技術をもたらしてくれるものと確信している」と述べた。