米国のスニーカー・スポーツウエア小売店のフットロッカー(FOOT LOCKER)は、傘下のスニーカー専門店アトモス(ATMOS)の北米事業撤退を発表した。
今回の決定について、パトリック・ウォルシュ(Patrick Walsh)=アトモス シニア・バイス・プレジデント兼ジェネラルマネージャーは「日本およびアジア事業に注力するための戦略的決断」と説明し、ニューヨークとフィラデルフィア、ワシントンD.C.の全3店舗の直営店およびアメリカ版公式オンラインストアを順次閉店するという。
アトモスは、2000年に本明秀文が東京・原宿で創業し、「ナイキ(NIKE)」や「アディダス(ADIDAS)」「ニューバランス(NEW BALANCE)」などのスニーカーを取り扱いながら、さまざまなブランドとの大型コラボや独自イベントを仕掛けることで、日本を代表するスニーカーショップへと成長。特に、07年に発表した「ナイキ」とのコラボ「エア マックス 1 “エレファント”(AIR MAX 1 “ELEPHANT”)」は、16年に行われた全100モデルの「エア マックス」シリーズの中からファン投票で人気ナンバー1を決めるキャンペーンで、2位以下に圧倒的な差を付けて1位を獲得し、アトモスの名を世界に轟かせるきっかけとなった。
10年代に入ると国内外で出店を加速させ、21年時点で日本国内に39店舗を、アメリカやアジアなどグローバルを含めて49店舗を展開。21年1月期には1億7500万ドル(約260億円)の売上高となり、同年10月31日にフットロッカーがアトモスを運営するテクストトレーディングカンパニーを3億6000万ドル(約536億円)で買収。多くの業界関係者はこの買収を好意的に捉え、フットロッカーも今年3月には26年までに95億ドル(約1兆4155億円)の売上高を達成する目標を掲げていた。しかし、第2四半期(5~7月)の売上高は前年同期比9.9%減の18億6100万ドル(約2772億円)で、純損益は前年の9400万ドル(約140億円)の黒字から500万ドル(約7億4500万円)の赤字となった。
なお今回の決定を受け、1月31日付でフットロッカーアトモスジャパンのCEOを退任している本明氏は自身のX(旧Twitter)公式アカウントで、「悲しみのニュースです。私は企業を売ったので、何も言えないが悲しみだけは浮かび上がってくる。(中略)。訳もわからず、変な日本人が始めた店が閉店する。私の良き冒険談であり、育ててくれた場所である。お客様に感謝を込めて、ありがとう」と投稿している。